米国務省、「パックス・シリカ基金」設立を発表、重要鉱物関連投資拡大へ

(米国)

ニューヨーク発

2026年03月31日

米国の国務省は3月26日、半導体サプライチェーンを支える重要鉱物の採掘・加工、重要インフラ、および製造設備向けの「パックス・シリカ(Pax Silica)基金」を設立すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。国務省は今後、議会と協力しながら、同基金に対し対外援助(foreign assistance、注1)資金として2億5,000万ドルの拠出を目指す。

国務省は発表の中で、「同基金は国内外から信頼できる資本を呼び込みサプライチェーン強靭(きょうじん)化に向けた投資を拡大する一助になる」と期待を示した。また、対外援助を活用して重要な新興技術などに対する民間や同盟・パートナー国からの共同投資を誘致することで、米国および世界中の信頼できる企業にとって新たなビジネスチャンスの創出につながるとした。また、同基金は「米国第一」の支援方針を推進することで、同省のマルコ・ルビオ長官が掲げる「援助ではなく貿易(Trade Not Aid)」の目標の実現にも引き続き取り組んでいくとも説明した。

パックス・シリカ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」は2025年12月に米国が立ち上げた、同盟・パートナー国の経済安全保障上の連携のための枠組み。人工知能(AI)の進化によって重要鉱物や関連インフラなどの需要が増加し、サプライチェーン再編が進むとの認識の下、敵対国への依存軽減や新技術の確保、機密度の高い技術の保護といった領域での連携を目標としている。現在は日本を含む12カ国・地域(注2)が参加している。

トランプ政権は重要鉱物のサプライチェーン構築に向け、同盟・パートナー国との連携強化を目指す。2026年2月に開催した重要鉱物閣僚会合では、国務省のマルコ・ルビオ長官が重要鉱物サプライチェーンを強化する取り組みを推進する「FORGE」の創設を発表するとともに(2026年2月5日記事参照)、J.D.バンス副大統領が公正な市場価値を反映した市場形成を目指す「重要鉱物特恵貿易圏」の創設を提案した。このほか、米国通商代表部(USTR)は同月下旬、重要鉱物に関する複数国間協定の設計やサプライチェーンの強靭化に向けたパブリックコメントの募集を開始しており(2026年3月2日記事参照)、今回の基金設立もこれらの流れに続く施策といえる。3月19日にワシントンで行われた日米首脳会談でも重要鉱物のサプライチェーン強靭化に関するアクションプランなどを発表されるなど(2026年3月23日記事参照)、日米間においても同分野での連携強化が進む。

(注1)米連邦議会調査局(CRS)の解説外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに基づくと、一般的には、米国政府が安全保障や人道的などの観点に基づき外国政府や国際機関などに提供する、資金協力・物的支援・技術支援などの総称といえる。

(注2)これまでに米国のほか、オーストラリア、ギリシャ、インド、イスラエル、日本、カタール、韓国、シンガポール、スウェーデン、アラブ首長国連邦(UAE)、英国の11カ国が「パックス・シリカ宣言」に署名して参加した。また台湾は、「パックス・シリカ宣言」および米台経済安全保障協力に関する共同声明を米国と発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますして参加した。

(滝本慎一郎)

(米国)

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