米司法省、関税を不当に払わない事業者の取り締まり強化へ、タスクフォース設置

(米国)

ニューヨーク発

2025年09月04日

米国司法省は8月29日、関税の不当な回避や輸入禁止物品の密輸の取り締まりを強化するため、省庁横断の貿易詐欺対策タスクフォースを立ち上げたと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。トランプ政権は関税回避を目的とする迂回輸入の防止に取り組んでおり、司法省にタスクフォースを設置することで、関税徴収に関する法執行能力を強化する狙いがある。

司法省は発表の中でドナルド・トランプ大統領が就任初日の1月20日に発表した「米国第一の通商政策(AFTP)」(2025年4月7日記事参照)を推進するには、事業者による通商法順守を確実にし、米国の製造業者の「競争条件の平準化(level the playing field)」を目的としたアンチダンピング関税(AD)・補助金相殺関税(CVD)、1974年通商法301条に基づく追加関税など、全ての関税が適切に支払われるようにしなければならないと指摘した。その上で、同タスクフォースは税関・国境警備局(CBP)や国土安全保障捜査局(HSI)などの法執行機関と連携し、法律に違反して不当に関税を支払わない事業者の取り締まりを強化すると説明した。効果的な執行のため、不公正な貿易慣行や貿易詐欺に関する米国内事業者からの通報を歓迎するとした(注1)。

トランプ政権は追加関税の賦課のみならず、関税回避を目的とした迂回輸入対策に注力している。8月7日から適用を再開した相互関税では、CBPが迂回輸入と判断した場合には40%の追加関税を課すことに加え、罰金なども科すと発表している。また、各国との個別合意の中では、迂回輸入防止を念頭に置いた新たな原産地規則の交渉もうたわれている(2025年8月1日記事参照)。

連邦議会でも、2024年7月外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます2025年3月外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに、司法省内に貿易に関連する法令違反を重点的に調査するタスクフォースを設置する同じ内容の法案が提出されている(注2)。

(注1)司法省が発表しているフォーマット外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを用い、同省の内部告発プログラム宛て(CorporateWhistleblower@usdoj.gov外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)に送付する。

(注2)2024年7月に提出された法案は、成立しないまま第118議会が2025年1月に終了したため、廃案となっている。2025年3月に提出された法案は、9月時点で審議が進んでいない。

(赤平大寿)

(米国)

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