2025年のブラジル向け日本産食品輸出が大幅増
(ブラジル)
サンパウロ発
2026年02月17日
2026年1月発表の日本の財務省貿易統計によれば、2025年のブラジル向けの日本産食品の輸出額は前年比46%増の約24億5,000万円だった(注1)。好調なブラジル経済、レアル高(円安)、ブラジルにおける近年の日本食への関心の高まりに加え、これまで、ブラジル向けに輸出実績がほとんどなかった水産品やコメなど新規品目の輸出開始などが要因だ。
近年のブラジル向け日本産食品輸出の動向をみると、好調なブラジル経済を背景に、日本産食品へのニーズが高まり、2021年に10億円程度だった輸出額が、2025年には約2.5倍と大幅に増加した。
特に2024年から2025年にかけては、ブラジル向けにこれまでほとんど輸出されていなかった水産物やコメなど世界市場でも高い競争力を有する品目や、ワインなど、輸出量は少量ながら近年競争力を増す品目が、ブラジル向けの新たな輸出品目となったことも、輸出増を後押しした(添付資料図参照)。
こうした新たな輸出品目の確立に向けては、日本側の事業者がブラジル当局の求める施設登録や許認可取得に対応してきたこと(注2)、日本政府がブラジル当局との交渉を通じ、例えば、コメの検疫要件の緩和を実現させるなど(注3)、輸出環境の改善を進めたことが大きな推進力となった。また、こうした動きに連動するかたちで、農林水産省、国際協力機構(JICA)、ジェトロならびに一部自治体などが連携して実施した、食品商談会や見本市出展、バイヤー招聘(しょうへい)、試食会などのプロモーション活動も、日本産食品の現地市場との接点拡大に貢献してきた(注4)。
今後は、水産物やコメなどの新たな輸出品目の定期的な輸出に加え、ブラジル側も関心を寄せるホタテを含む二枚貝の輸入規制の動向などさらなる輸出品目の確立に向けた制度面の充実が期待される。このほか、ブラジル産ならびに中国や韓国産などの日本食材とのすみ分けを図りながら、ブラジルにおける日本産食品の取り扱い事業者を増やす取り組みや、消費者の関心を喚起する活動なども求められる。
ブラジル向けの日本産食品輸出は、2025年、大きな伸びを示したものの、欧米・アジアと比べて、まだ小さい。引き続き、官民の連携を通じた市場開拓の取り組みが期待される。
(注1)日本の財務省統計を基に、ジェトロ・サンパウロ事務所で取りまとめた金額。ここで言う日本産食品とは、HSコード03類や16類の水産物、17類、18類、19類の菓子類、09類、21類、22類の調味料、22類の飲料、21類のサプリメント・健康食品、21類のカレー類、19類の麺類、07類、08類、20類の野菜果実加工品(スナック菓子を含む)、02類の食肉、09類や21類の茶・コーヒー、21類のスープ・調理ベース、11類や19類のその他穀物加工品、15類の油脂、12類の海藻類、13類の植物エキス、17類の糖類・甘味素材、10類の穀類豆種子、12類の食品原料・素材のいずれも一部を足し上げたもの。
(注2)2025年には日本産マグロがブラジルに正式に輸入された。ブラジルでは動物性食品の輸入に際しては、輸出国側の最終加工場施設登録および輸出品ラベル登録(DIPOA)など所定の輸入の手続きが必要となるため、これらへ対応。日本から初となるブラジル向けマグロ輸出を実現した。詳細は、2025年10月28日記事参照。
(注3)2025年6月、日本の農水省はブラジルの植物検疫当局との間で、同国向け日本産精米の植物検疫条件に関する協議を行ってきた結果、これまでブラジル側から求められていた輸出前のくん蒸が不要となったことを公表
した。
(注4)ジェトロは2025年9月、スーパーマーケット業界関係者を主対象としたBtoBイベント「APAS Experience」に現地日本食インポーター5社と共に出展し、日本酒やカレーなどの日本食品を紹介し、試飲・試食を通じて商品の魅力を訴求した。2025年10月17日記事参照。その他、2025年10月には、南米最大級の水産食品展示会「シーフードショウ・ラテンアメリカ2025」でジャパンパビリオンを設置し、既に日本から輸入されているハマチやマグロ、かつおぶしの展示や試食に加えて、まだブラジル市場への輸入が実現していないホタテ(玉冷、ひもつきボイルホタテ)、イクラ、明太子(めんたいこ)、日本産マグロの試食などを行い、人気を博した(2025年10月28日記事参照)。
(井上徹哉)
(ブラジル)
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