メキシコ経済省、輸入自動通知制度を改正し、さらなる厳格化へ

(メキシコ)

メキシコ発

2026年02月16日

メキシコ経済省は2月12日、同省が貿易に関する規則・指針を定める省令(通称、経済省貿易細則)の改正を連邦官報で公布し、2月13日に施行した。改正した項目は多岐にわたるが、その中でも鉄鋼・鉄鋼製品に対する輸入自動通知制度(注1)に関連する改正は同細則の第1.3.9則、1.3.10則、2.2.19則、第2.2.26則、第2.2.30則、別添2.2.2則であり、特に次の点に注意が必要だ(添付資料参照)。

〇2.2.19則A:用語の定義

ミルシート(鋼材検査証明書)に記載するQRコードおよび署名、押印の定義が示された。特に署名・押印については、発行者の直筆の署名および直接押印したものである必要があり、デジタル署名、デジタル印は有効ではないとした。

〇2.2.19則BのIおよびIX:ミルシート・品質証明書での記載事項、添付資料

ミルシートおよび品質証明書に製品情報の詳細(注2)を記載する必要があるとし、メキシコ貿易手続き単一窓口(VUCEM)上で申請するために必要な情報と完全一致することが求められた。2.2.19則BのIXが追加され、申請企業(輸入者)の法定代理人の署名がされた「カルタ・レスポンシーバ(Carta responsiva、注3)」を最初の輸入時に提出する必要があるとした。

〇第2.2.30則Iのd:経済省が発行する決定通知の発行までの期間

輸入自動通知における決定通知に関して、経済省の決定通知の発行は改正前では2営業日であったが、10営業日までに発行すると変更された。改正前では、承認または拒否通知を2営業日までに発行するとしていたが、実質的には平均15~18営業日まで通知に時間がかかっていた。そのため、経済省が対応可能な現実的な期間に変更したと想定されるものの、緊急対応が必要な輸入において、この期間が足かせになる可能性がある。

〇別添2.2.2の7のIのII:ミルシートにおける基準(Criterio)

ミルシートが必要な製品(注4)で、材料が加工されたがHSコードが変更されない場合、加工した製鋼所(ミル)の品質証明書も添付する必要があると変更された(注5)。改正前では、鉄が熔解・鋳造された製鋼所のミルシートのみを必要としていたが、その製品が加工された場合は追加で品質証明書を提出する必要があるため、製鋼所および輸入者において対応が迫られる。

ほかにも、ミル登録における登録時の条件追加や鉄鋼製品輸入業者登録(RIPS、注6)における変更、RIPSの輸入量の拡張などについても改正されているため注意が必要だ。同改正は、大幅な要件変更があるにもかかわらず翌日施行のため、輸入者および製鋼所への負担が懸念される。また、同改正でもあいまいさが残る部分は多く、引き続き経済省や国家貿易統合システム(SNICE)から発出される情報を確認することを推奨する。

(注1)輸入自動通知に関する過去の経緯は、こちらの記事を参照(2024年4月17日2024年5月30日2025年7月3日記事参照)

(注2)ミルシート・品質証明書における製品情報の詳細は、寸法および技術的・化学的・冶金(やきん)的・物理的仕様を記載することとしており、特に仕上げ、コーティング、鋼種、付属品、特性、形状などを指している。これはVUCEMでの申請において記載する必要があり、SNICEの輸入自動通知の特設ページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにおけるクイックガイド(Guia rapida)およびチェックリスト(Check List)に記述されている。

(注3)「カルタ・レスポンシーバ(Carta responsiva)」は、経済省が輸入自動通知の判定の際に、ミルシートに署名・押印・QRコードがないと判定し、当該通知を却下された後、輸入者の責任をもって、ミルシートが正しいものであることを宣言する書類。本来であれば、経済省からの却下通知後に再申請するものだが、自動輸入通知に迅速に対応するために、最初の申請時に添付することが推奨されていた(2025年7月3日記事参照)。しかし、今回の改正において、ミルシート・品質証明書に直筆署名・直接押印・QRコードが対応できない場合に提出する必要があるか、ミルシート・品質証明書に直筆署名・直接押印・QRコードを記載した上で、カルタ・レスポンシーバを提出するのかは、定義が明示されていないため不明。

(注4)ミルシートが必要な製品はHSコード7206から7216、7218から7228、および7304に分類される製品。

(注5)品質証明書が必要な製品はHSコード7202、7217、7229、7301、7302、7305から7317と規定されている。しかし、注4の製品でHSコードが変わらない場合、本来ならミルシートが求められるはずであるが、品質証明書と記載があり、矛盾が生じている。

(注6)「鉄鋼製品輸入業者登録」は、直近12カ月間の鋼材の輸入実績など特定の要件を満たす企業が、当該登録を行うことで、複数回の輸入をカバーする1年間有効な輸入自動通知番号を輸入鋼材別に取得でき、都度輸入自動通知の申請を不要とする登録制度。

(阿部眞弘)

(メキシコ)

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