欧州投資銀行、2025年の年次報告を公表、域内競争力・安全保障強化に貢献
(EU)
ブリュッセル発
2026年02月10日
欧州投資銀行(EIB)グループ(注1)は1月29日、2025年の年次報告
を公表し、欧州の競争力、安全保障、戦略的自律の強化を支援するため、融資、保証、エクイティ投資(注2)などを通じた新規ファイナンスは過去最高となる約1,000億ユーロに達したと発表した(プレスリリース
)。
報告書によると、約6割はグリーン関連プロジェクトに充てられた。エネルギー貯蔵や再生可能エネルギーの導入、エネルギー多消費産業の脱炭素化に向けたグリーン技術、水インフラなどに加え、特に課題となっている送電網や相互接続網(2025年12月19日記事参照)の整備に重点が置かれ、同分野へのファイナンスは過去最高の約116億ユーロに達した。
グリーン技術に加え、域内発のイノベーション、スタートアップの域内での成長を支援するTechEU(2025年6月13日記事参照)の下、クリーン、住宅、バイオ、宇宙の4つのプラットフォームを立ち上げ、約224億ユーロの金融支援(融資、ベンチャー債務、エクイティ投資など)を行った。2027年までに約700億ユーロの金融支援を提供し、総額2,500億ユーロ規模の投資動員を目指す。また、EIBのリスク金融を担う欧州投資基金(EIF)の中小企業向け保証、エクイティ投資を通じた金融支援は約160億ユーロだった。欧州で12のベンチャー・キャピタル・ファンドの設立支援と、ユニコーン9社を含む35のスタートアップの規模拡大を支援した。
このほか、地政学的リスクの高まりを受け、安全保障・防衛分野の支援も強化し、前年比約4倍の40億ユーロ超、域内ファイナンス全体の5%に相当した。軍事施設の整備から高度レーダーなどの研究開発、加盟国の商業銀行との連携仲介融資、アンカー投資家としてのEIFを通じた防衛関連企業を対象としたエコシステムの育成を進めている。
ウクライナ支援や「グローバル・ゲートウエー」パートナーシップ(2025年7月3日付地域・分析レポート参照)などを通じた域外金融支援は約90億ユーロだった。
EIB総裁は、同日行われた欧州委員会主催の競争力強化策を議論する会議(2026年2月3日記事参照)で2025年の報告を行い、「欧州は引き続きクリーンテック分野での高い製造能力で世界をリードすべく、欧州の能力を信じることが大事」と強調した。
(注1)EIBグループは、EIBと中小企業に対する資金提供を専門に行う欧州投資基金(EIF)で構成される。
(注2)株式の取得により、企業に投資を行うもの。
(薮中愛子)
(EU)
ビジネス短信 737879624643cb63




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