欧州委員会、域内競争力強化策に向けた青写真を議論
(EU)
ブリュッセル発
2026年02月03日
欧州委員会は1月29日、ベルギー・ブリュッセルで「クリーン・公正・競争力のある欧州経済・社会への青写真
」と題した会議を開催し、政策立案者や有識者が現況の課題と取り得る対応を議論した。主催した欧州委のテレサ・リベラ執行副委員長(クリーン・公正・競争力のある移行、競争政策担当)は、「EU基準は、これまでEUの競争力を支える重要な源泉となってきた。一方で、同基準および関連規制は、地政学的環境が大きく変化する中、適切な調整が求められている。EUの強みはソフトパワーにあり、ルールや規制を、対話とパートナーシップを通じ、柔軟に組み合わせ、EU基準を時代に即して深化させていくことが、今後の競争力確保のカギである」と総括した。
4つのセッションの冒頭、(1)「平等でよりよいビジネス環境」セッションでは、欧州経済社会評議会(EESC)雇用主グループの議長より、欧州企業の規制対応の実態として、労働力の6%を取られている一方、研究開発には1.7%しか割けていない現状を指摘。続けて、欧州中小企業連合会(SMEunited)の事務局長は、欧州の中小企業の94%は従業員数10人以下で、人事、法務など専門部隊を有していないこと、現在の規制は大企業を想定し草案されている点が課題であり、順守する中小企業の目線で作る必要性を強調した。また、中小企業は、市場のニーズに即した開発を可能とする柔軟性、持続可能なクリーンへの移行という共通目標に向け、コスト効率の高い解決策を自主的に見いだすことを後押しする規制環境を求めていると、同連合会が策定したVISION 2040
を紹介した。OECDの金融企業局の担当者は、成長市場では、開示要件の緩和などのルールの調整と、起業家の成長段階に長期的、かつリスクを取る投資を呼び込む必要性を述べた。
国際エネルギー機関(IEA)の事務局長は、(2)「クリーンへの移行」セッションで、資源輸入国である欧州は、電化を軸に競争力とエネルギー安全保障を確立するべきと話した。日本や韓国などの資源輸入国の電力の比率はエネルギー全体の3分の1超であるのに対し、欧州は約22%と資源産出国並みにとどまっている。また、2025年には約80ギガワット(GW)の再生可能エネルギー(再エネ)を導入したものの、400GWは系統接続ができなかった点を挙げ、手頃なエネルギー価格の実現のためのインセンティブ設計、再エネ・原子力をベースに、送電網整備の重要性(2025年12月19日記事参照)を指摘した。
エンリコ・レッタ元イタリア首相は、(4)「公正性と基準」セッションで、競争政策は単一市場の機能を支える中核であり、時代の変化にあわせ、価格だけではなく、イノベーション、品質、持続可能性などの要素を反映し、EUは引き続き、ルールベースで競争力を高めていく役割を担っているとした。
(薮中愛子)
(EU)
ビジネス短信 2b855a172ed654c9




閉じる
