シェインバウム大統領、自動車産業の代表者との会談を公表

(メキシコ)

メキシコ発

2026年02月04日

クラウディア・シェインバウム大統領は1月28日にメキシコの自動車産業の代表者との会合を行い、1月29日の早朝記者会見でその内容の一部を述べた。米国の関税問題については、引き続き米国と協議していくとしたが、メキシコ国内においても課題があるとした。主な内容は次のとおり。

  • 通関の迅速化
  • IVA(付加価値税)の早期還付に関する課題:2025年は自動車産業において、2024年の還付額よりも多い370億ペソ(約3,367億円、1ペソ=約9.1円)のIVA還付を行った。関税以外で追加的な障壁が生じないよう、今後も取り組む。
  • 自動車に関する環境基準に対する議論(注):メキシコ公式規格(NOM)が2027年に失効するため、その改定を前倒しできないか検討されている。自動車業界は投資計画を事前に立てるため、NOMが早期に確定されることに強い関心がある。
  • 世界各国・地域との貿易協定を維持することの重要性:自動車業界は米国以外の国・地域にも輸出しているため、引き続き連携していくことで合意した。
  • 複数の分野からなる省庁間会合の設置:さまざまな課題について、メキシコ政府と自動車業界が合意に向けて議論するために、同業界と省庁間での会合を設置する。

ただし、上記の事項は自動車産業と協議した内容であり、1月29日の米国のトランプ大統領との電話会談(2026年2月4日記事参照)の議題ではないとした。

メキシコ自動車工業会(AMIA)のロヘリオ・ガルサ会長もインタビューで、「省庁間会合を復活させ、地政学的な変化や関税の変動に対応するための包括的な計画を策定するべき」と述べた(「フォルムラ・フィナンシエラ」1月30日付)。また、会合内での議題について、「米国との関税交渉やUSMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)の見直しは外部要因であり、完全にコントローすることは不可能だが、内部(国内)要因についてはコントロール可能だ」とした。具体的な内部要因として、最低賃金の引き上げ(2025年12月4日記事参照)や労働時間を週当たり48時間から40時間に削減する労働法改正(2025年12月9日記事参照)などの労働改革を挙げ、いかに生産性を向上させるかを政府と検討する必要があるとした。また、中国車に対する懸念として、メキシコで販売されている中国車の台数が国立統計地理情報院(INEGI)に報告されていないケースがあるため、中国企業も含め報告していないメーカーに対して販売報告を義務化する仕組みを模索すると語った。

さらに、「プラン・メキシコ」にも盛り込まれている自動車の国内生産の増加について、「自動車産業は、世界規模で生産体制を構築しているため、国内市場向けに生産を開始するためだけに、すぐに物流体制を変更することは難しい」とし、「国内市場向けに生産を検討するのは今が好機ではあるが、企業がメキシコに投資を継続するために必要な条件を整える必要がある」と述べた。

(注)対象となるNOMは、メキシコ環境天然資源省(SEMARNAT)が定める自動車の排ガス・燃費基準定める公式規格NOM-163-SEMARNAT-SCFI-2023の可能性が高く、対象範囲がメキシコ国内で販売される2027年モデルまでのバッテリー式電気自動車(BEV)やハイブリッド車なども含む新車であるため、2028年以降の新たな基準の策定が必要となる(2024年1月18日記事参照)。また、メキシコでのSEMARNATによる販売前の排ガス認定基準を定めたNOM-042-SEMARNAT-2003は、2003年に公布されているため古く、新しい基準への移行についてたびたび議論されている。

(阿部眞弘)

(メキシコ)

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