メキシコ政府、USMCAの見直し合意に向け、協定の維持を強調
(メキシコ、米国)
メキシコ発
2026年01月23日
メキシコのクラウディア・シェインバウム大統領は1月14日の早朝記者会見において、トランプ米大統領が米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に否定的な発言をしたことに対して、「USMCAを最も支持しているのは、米国の企業家だ。両国は非常に緊密に統合されているからであり、両国は非常に多くの生産拠点を有し、自動車だけでなく、非常に多くの分野にまたがっている」とし、米国との貿易関係およびUSMCAは今後も継続すると確信していると述べた。メキシコ政府は、USMCAの見直しに関し、一貫して協定の維持を強調しており、北米圏の協調・連携強化を支持する立場を示している。
また、1月15日の早朝記者会見で、マルセロ・エブラル経済相はUSMCAの見直しに関して、「2025年に(米国から)提起された課題については、100日以上かけて作業を進め、ほぼ全て完了した。従って、協定の見直しは既に始まっている。見直しは7月1日までに完了させる必要がある」と強調した。記者から、USMCAの見直しに関してメキシコの立場としてどのようなことを望むかを問われた際、エブラル経済相は「第1に、USMCAの見直しの維持を望む。第2に紛争解決システム(パネル)が引き続き機能し、強化されることを望む。これにより、さまざまな産業に影響を与える不適切な決定がなされることを避けられる。また、労働問題解決メカニズム(注1)など、いくつかのメカニズムにおいて、相互性または対等な関係を確保することを提案している。さらに、協定のサイドレター(注2)についても順守されるべきだ。例えば、鉄鋼の場合、60日間の協議手続きやプロセスが定められていたが、これは順守されていない」と語った。さらに、USMCAの見直しが完了したら関税の脅威はなくなるのかという質問に対して、「米国の場合、1962年通商拡大法232条による規定が存在しており、USMCAでは変更できない。米国に存在する法規定は変更できないが、紛争解決システムと協定の規定は関税に関する不確実性の余地を減らす手助けになる。また、それは米国だけでなく3カ国に義務を課すものになるため、USMCAを維持することが重要だ」と返答した。
1月21日の早朝記者会見でも、シェインバウム大統領は、USMCAは相互に利益があるため、多少の変更があったとしても最終的には維持されるだろうと見方を示した。メキシコ政府は、パブリックコメント(2025年9月18日記事参照)やメキシコの企業・団体との協議(2025年11月19日記事参照)の内容を含めたUSMCAに関するメキシコの立場を、1月末に発表する予定としている。
(注1)事業所特定の迅速な労働問題対応メカニズム(RRM)のことであり、締約国内に所在する企業の事業所単位で労働権侵害の有無を判定する手続きで、労働権侵害の事実が確認されれば、USMCAの特恵措置の停止などの罰則が適用され得る。ただし、米国・カナダ間にはRRMは設けられていない。
(注2)サイドレターの内容については2025年3月27日記事参照。
(阿部眞弘)
(メキシコ、米国)
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