トランプ米政権、エヌビディア製半導体「H200」などの対中輸出管理を緩和

(米国、中国)

ニューヨーク発

2026年01月15日

米国商務省産業安全保障局(BIS)は1月13日、エヌビディア製半導体「H200」やアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)製半導体「MI325X」など特定の米国製半導体の中国・マカオへの輸出管理を緩和する最終規則(FR)を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。1月15日付の連邦官報PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で公示し、同日に発効する。

ドナルド・トランプ大統領は2025年12月8日にSNS投稿で、「米国は、国家安全保障の強化が可能な範囲で、エヌビディアがH200製品を中国および他国の承認された顧客に販売することを許可すると中国の習近平国家主席に伝えた。習国家主席は好意的に反応した。25%が米国に支払われる」と発表した。また、AMD、インテル、その他の米国企業にも同様の措置を適用すると述べた。BISは、今回の輸出管理規則改定について、こうしたトランプ氏の発表に基づく措置だとした上で、「人工知能(AI)分野における米国のリーダーシップがもたらす国家安全保障上の利益を確保するために必要と判断した」と説明した。

今後BISは、H200、H200の同等品、これらより低性能の半導体(注)について、中国・マカオへの輸出許可(ライセンス)申請の審査方針を「原則不許可(presumption of denial)」から「個別審査(case-by-case review)」に変更する。ただし、ライセンス申請に当たって、(1)申請対象製品が今回の規則改定の時点で米国内で一般に流通していることが要件となる。さらに、(2)輸出者は製品の輸出が米国内での半導体の供給を減少させないこと、製品の中国・マカオ向け総出荷量が米国の顧客への総出荷量の50%を超えないこと、中国の顧客が製品への不正アクセスを防止するためのコンプライアンス措置を講じていること、製品の性能や安全性について米国内の第三者機関が試験を実施していること、などを証明しなければならない。

ジェフェリー・ケスラー商務次官補(産業安全保障担当)は声明で、「輸出管理は国家安全保障を保ちつつ、技術の変化とともに進化すべきだ。管理された条件下でH200の中国への販売を許可することは、米国の技術エコシステムを強化することになる」と述べた。

今回の規則改定は、米国が対中輸出管理を根底から緩和したことを示唆するものではなく、規制の一部を緩和した措置にとどまる。引き続き、個別のライセンス申請は必要となるほか、審査を経てライセンスが発行されない可能性もある。ただ、トランプ政権は今回の措置に加えて、これまでに(1)「AI拡散規則」の撤廃(2025年5月15日記事参照)、(2)エヌビディア製半導体「H20」やAMD製半導体「MI308」に対するライセンスの発行(2025年7月18日記事参照)、(3)「関連事業体ルール」の停止(2025年11月11日記事参照)など、中国向けを中心として輸出管理を緩和する措置を相次ぎ講じている。こうした状況について、連邦議会下院「中国特別委員会」委員長のジョン・ムーレナー下院議員(共和党、ミシガン州)は2025年12月にハワード・ラトニック商務長官に宛てた書簡外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、「中国企業への先端半導体の販売を承認することは、トランプ大統領が第1次政権下で達成した(米中AI競争における)米国の戦略的優位を損なうリスクがある」などとたびたび懸念を示しており、共和党内の対中強硬派の一部からは批判も出ている。

(注)総処理性能(TPP)が2万1,000未満、かつ、総DRAM帯域幅が6,500GB/s未満の先端コンピューティング製品。BISは、対象にエヌビディアのH200およびAMDのMI325Xを例示している。

(葛西泰介)

(米国、中国)

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