EUのサステナビリティ規制、在欧日系企業にはCSRDとPPWRの影響大、規制緩和には期待

(欧州、EU、日本)

調査部欧州課

2025年12月26日

ジェトロが12月17日に発表した「2025年度 海外進出日系企業実態調査(欧州編)」(2025年12月17日記事参照)によると、在欧州日系企業が既に影響を受けている、または今後影響を受ける可能性が高いEUの政策・規制は、企業持続可能性報告指令(CSRD、43.6%)、包装・包装廃棄物規則(PPWR、42.7%)、炭素国境調整メカニズム(CBAM、33.6%)の順に高かった。中でも製造業では、2025年2月に施行されたPPWR(47.4%)、非製造業ではCSRD(41.4%)がトップとなった。

PPWRで課題やチャンスと捉える事項を製造業でみると、「規制に対応した包装材への切り替えや調達見直しによるコスト上昇、調達先の確保」が70.5%、「ラベル表示やリサイクル、再利用に対応するための体制構築やコスト上昇」が54.7%で上位。一方、「EU規制に対応した自社の包装材の需要拡大、新規顧客の獲得」につながると考える製造業企業は20.9%にとどまり、日系企業は同規則をチャンスよりも課題と捉える傾向が強いことがうかがえる。

欧州委員会のサステナビリティに関する企業の負担軽減を目的とした法令の見直しの影響については、全企業で「欧州規制への対応にかかるコスト・負担の軽減を期待」が67.1%でトップになった。同設問について、2025年に簡素化による適用開始時期の延期や適用対象基準の引き上げ案が発表された(注)CSRD、企業持続可能性デューディリジェンス(DD)指令(CSDDD)、森林破壊防止のためのDD規則(EUDR)を「影響を受けている、または今後受ける可能性が高い」規制として選択した企業でみると、75.9%が「欧州規制への対応にかかるコスト・負担の軽減を期待」と回答。「法令の適用開始時期が延期されれば、対応準備にかける時間が確保しやすい」は45.9%、「自社が当該規制の対象から外れることを期待」は34.3%だった。

(注)EUDRの簡素化法案は12月4日にEU理事会(閣僚理事会)と欧州議会により政治合意(2025年12月9日記事参照)、CSDDDとCSRDの簡素化法案は12月9日に政治合意(2025年12月16日記事参照)した。

(森友梨)

(欧州、EU、日本)

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