AI規制への注目度が大きく上昇、AIの活用率も前年から倍増
(欧州、EU、日本)
調査部欧州課
2025年12月22日
ジェトロが12月17日に発表した「2025年度 海外進出日系企業実態調査(欧州編)」(2025年12月17日記事参照)によると、在欧日系企業が注目するデジタル化関連施策は、人工知能(AI)規制が前年の26.9%から19.6ポイント上昇して46.5%となり、注目度が大きく上昇した。特に非製造業(51.2%)が製造業(40.2%)に比べて11ポイント高く、企業規模別では大企業(48.8%)、中堅企業(45.4%)、中小企業(39.7%)の順になった。
EUでは2024年8月にAI法が施行され、一部の規定の適用が始まっている(2025年2月13日記事参照)。2025年7月には、AI法に基づく「汎用(はんよう)AIの行動規範(General-Purpose AI Code of Practice)」も公開された(2025年7月15日記事参照)。一方で欧州委は、高リスクAIシステムに関する規則の適用時期を2027年12月まで最長で16カ月延期する方針のデジタル・オムニバス法案を提案。AI、サイバーセキュリティー、データに関するルールの簡素化と、高リスクAIシステムに関する規則の適用開始を連動させると説明している(2025年12月1日記事参照)。
当該設問において最も注目度が高い項目は、前年調査と同じくサイバーセキュリティー(59.0%)で、特に製造業者(66.7%)が高かった。2027年12月に主要な義務が適用開始となるサイバーレジリエンス法(2024年12月13日記事参照)の要件は、製造業者と小売業者に課される。欧州におけるサイバーセキュリティーのどのような点に注目するかという設問では、「規制の義務に対応するコスト」(61.9%)、「サイバーセキュリティーに対応できる人材やインフラの不足」(52.0%)、「実際のサイバー攻撃への対処への不安」(37.2%)の順に高かった。
半数以上の企業がすでにAIの活用を開始、前年より大幅上昇
全世界において生成AIなどの活用度が高まる中、「すでにAIを活用している」企業は回答企業の52.5%で、前年の27.9%からほぼ倍増した。「まだ活用していないが、今後活用する予定がある」と回答した38.1%も含めると、9割以上の企業がAIを活用すると回答。特に非製造業では「すでに活用している」と回答した企業は57.0%で、製造業の46.8%を10ポイント余り上回った。自由記述によれば、業務効率化の利用が多数あり、資料作成、情報/データ収集・調査業務、翻訳・議事録自動作成などに加えて、市場予測などにも活用されている。
AIの活用領域に関する設問では、「データ分析・解析による予測、最適化」で64.7%と高い回答率となった。そのほかでは、「ロボティクス・自動化システム」(22.9%)、「画像認識などによる自動検出、探知」(22.0%)、「AIを用いた設計や開発、自動生成」(19.7%)が続き、特に製造業で高い回答率(それぞれ26.4%、34.7%、21.7%)となった。
(坂本裕司)
(欧州、EU、日本)
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