政策金利を27.0%に据え置きも、コリドーを調整し引き締め継続

(ナイジェリア)

ラゴス発

2025年12月03日

ナイジェリア中央銀行(CBN)は11月24日と25日に金融政策委員会(MPC)を開催し、政策金利(MPR)を27.0%に据え置いた(2025年10月1日記事参照)。その一方で、コリドーの上限と下限を+50/-450ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)に変更した(注)。今回発表した決定は次のとおり。

  1. 政策金利27.0%に据え置き
  2. コリドーの上限と下限を+50/-450bpで調整
  3. 預金準備率(CRR)を商業銀行は45%、マーチャントバンク(国際金融業者)は16%、政府関連の公的部門預金は75%に据え置き
  4. 流動性比率(LR)30%に据え置き

MPCは今回の決定にあたり、10月の総合インフレ率が16.05%(9月18.02%)と7カ月連続で低下したことを歓迎。特に食料インフレ率が13.12%まで急低下した点を評価した。外貨準備高は11月14日時点で467億ドル(輸入10.3カ月分)と過去最高水準に達し、経常収支も黒字基調を維持。財政・金融連携によるFATFグレーリスト除外(2025年11月11日記事参照)とソブリン格上げ(2025年11月26日記事参照)も投資家信頼を支えていると評価した。実質GDPは、2025年第2四半期に前年同期比4.23%の成長を示し、第1四半期の3.13%を上回り、前向きな軌道を維持。さらに、購買担当者指数(PMI)は2025年11月に56.4ポイントへと大幅に上昇し、過去5年間で最高水準となり、第3・第4四半期の成長見通しがより明るいとした。銀行再資本化も16行が既に新基準(2024年4月18日記事参照)をクリアするなど、金融システムは強靭(きょうじん)さを保っているとの認識を示した。

そのうえで、総合インフレ率は依然として2桁台と高水準であり、さらなる抑制に向けた継続的な取り組みが必要であるとしたうえで、過去の金融引き締め措置の遅行効果と、外国為替市場の安定が続くことに支えられ、近い将来にディスインフレーション(インフレ率の低下)の持続や、進行中の季節的要因(収穫期)により国内の食料供給が増加し、食品価格のさらなる緩和に期待を示した。MPCは、物価および金融システムの安定という銀行の使命を達成するため、エビデンスに基づく政策アプローチへのコミットメントを再確認するとした。

一方、ナイジェリア製造業者協会(MAN)は、為替の安定や外貨流動性の重要性は認識するとしつつ、現在の高金利が生産を抑制し、製造業の競争力を低下させ続けているとして、金融緩和を必要としていると主張している。

次回のMPCは、2026年2月23日と24日に開催の予定だ。

(注)CBNが商業銀行に提供する貸出金利と預入金利の範囲を示す。コリドーの上限を前回の+250bp(27.0%+2.5%=29.5%)から+50bp(27.0%+0.5%=27.5%)に引き下げたことで、銀行がCBNから借りるコストが減少。下限は-250bp(27.0%-2.5%=24.5%)から-450bp(27.0%-4.5%=22.5%)に引き下げ、銀行がCBNに預ける貸出金利を下げている。ただし、前回判断したインフレ率(8月)は20.12%で、それに対して、コリドーの下限24.5%でその差は4ポイント弱だったが、今回は、インフレ率(10月)が16.05%に対して、コリドー下限は22.5%と下がったものの、その差は6ポイントに広がっており、銀行・企業にとっては借り入れコストが高いままなので、物価の上昇を抑えるための「金利の引き締め効果」が出ている。

(奥貴史)

(ナイジェリア)

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