S&P、ナイジェリアの見通しを「ポジティブ」に引き上げ
(ナイジェリア)
ラゴス発
2025年11月26日
信用格付け会社S&Pグローバル・レーティング(S&P)は11月14日、ナイジェリアの信用格付けを「B-/B」(注1)に据え置いた。ただし、石油・ガスなどの成長見通しの改善や、政府の金融・経済・財政改革が中期的にプラスの効果をもたらすと見込み、見通しを「安定的」から「ポジティブ(注2)」に引き上げた。同社は、政府が経済成長の見通しとマクロ経済の強靭(きょうじん)性を高めるための措置を講じていると評価(2025年11月11日記事参照)。高位シナリオとして、ナイジェリアの経済パフォーマンスが予測を上回り、財政・対外的利益面での改善が定着すれば、格付けを引き上げる可能性があるとしている。
その一方で、ナイジェリアの1人当たりGDPが低く、高インフレ率や、高い貧困率に加え、財政脆弱(ぜいじゃく)性や、債務負担、石油依存も課題として残っており、外部ショックへの耐性も限定的としている。
ムーディーズは2025年5月に、ナイジェリアの長期外貨建て発行体格付けを「Caa1」から「B3」に引き上げ、見通しは「安定的」と維持した。同社は、財政の強靭化、外貨収入の改善のほか、政府による為替市場の統一、燃料補助金の撤廃、非石油収入の増加、中央銀行による金融政策の信頼改革など構造改革の取り組みを評価している。
フィッチ・レーティングスは2025年4月11日に、ナイジェリアの長期外貨建て発行体デフォルト格付けを「B-」から「B」に1段階(ノッチ)引き上げ、見通しの「安定的」を維持。10月10日の発表ではその変更はなかった。
(注1)「B-/B」は投資適格未満の水準で、信用リスクは高いが、デフォルトの可能性は直ちに高いわけではないという評価。S&Pでは、ナイジェリアの外貨・自国通貨建て長期・短期ソブリン信用格付けを「B-/B」とし、ナイジェリア国内スケール格付けを「ngBBB+/ngA-2」とし、見通しは「ポジティブ」としている。
(注2)見通しが「ポジティブ」に変更されたのは、今後1~2年で格付けが引き上げられる可能性があることを示唆する。
(奥貴史)
(ナイジェリア)
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