銀行再編へ、最大10倍増の自己資本金基準を設定へ

(ナイジェリア)

ラゴス発

2024年04月18日

ナイジェリア中央銀行(CBN)は3月28日、ナイジェリアの全ての銀行に対して、銀行の健全性を保つため、免許区分とその認可に応じて、自己資本金を2026年3月31日までに増強するよう通達した。

これまでインターナショナルの認可を受けた商業銀行の最低支払い済み自己資本金は500億ナイラ(約70億円、1ナイラ=約0.14円)だったが、今回の通達で5000億ナイラに増強するように求められている。ほかの免許区分の銀行も添付資料PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(英語)のとおり、現行の2倍から10倍に引上げることが求められる。CBNは、最低支払い済み自己資本金を引き上げることで、銀行が不測の損失を吸収できる強固な資本基盤を維持し、ナイジェリア経済の成長と発展に貢献する能力を確保することを目指していると説明した。こうした背景には、長年にわたるインフレにより、ナイラの価値が下がっていることも要因に挙げられる(注1)。

CBNは、4月1日以降24カ月以内に基準達成を確実にするため、4月30日までに各銀行に対して、その実行計画とタイムラインを提出するよう求めている。基準達成のため、現行の銀行法を順守した上で、銀行に対して3つの手段を提示している。

  1. プライベート・プレースメント、株式持ち分の引受権付与、新規株式の購入申し込みによる新しい資本の調達(注2)
  2. 合併および買収(M&A)
  3. 銀行ライセンス認可のアップグレード、またはダウングレード

上述の期限内に自己資本金が基準に達しないと、銀行としての認可が得られなくなり、統廃合が進むことになる。報道によると、既に銀行の雇用喪失や支店の統廃合などの動きも見られ始めている。3月14日現在、ナイジェリアには25行の商業銀行外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますがある。

(注1)2016年4月1日時点で公定レートは1ドル=197ナイラ。2024年4月15日の公定レートは同1,161.714ナイラ。この8年でドルに対してナイラは価値が約6分の1に落ちている。

(注2)CBNによると、既存の銀行の必要資本は払込資本(払込資本+プレミアム資本)のみにするとしている。プライベート・プレースメント(選択された投資家に株式を非公開で販売する)、株式持ち分の引受権付与(既存の株主に追加の株式を購入する権利を与える)、新規株式の購入申し込み(一般の投資家に株式を公開して購入する機会を提供)で資金を調達することを挙げている。一方で、ボーナス発行、その他の準備金、追加的Tier1資本は、新たな最低資本要件を満たす目的では認められないとしている。

(奥貴史)

(ナイジェリア)

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