ナイジェリア、FATFグレーリストから正式除外、金融システムが改善

(ナイジェリア)

ラゴス発

2025年11月11日

マネーロンダリング(資金洗浄)、テロ資金調達、拡散金融を監視する国際組織の金融活動作業部会(FATF)(注1)は10月24日、ナイジェリアのマネーロンダリング・テロ資金供与対策(AML/CFT)体制について「大幅に改善された」と評価し、同国を監視強化対象(いわゆるグレーリスト)から正式に除外した(2025年10月28日記事参照)。なお、アフリカでは、南アフリカ共和国、モザンビーク、ブルキナファソもグレーリストから除外となった。

ナイジェリアは、2021年8月の相互評価報告書(MER)において、金融システムにおける戦略的な欠陥(制度的な不備)を指摘された。これを受け、2023年2月に高レベルの政治的コミットメントを表明し、FATFから9項目のアクションプラン(注2)が提示された。ボラ・ティヌブ政権は、この課題に国家優先事項として取り組み、制度整備、監督体制、国際協力の各分野で改善を進めた結果、すべてのアクション項目を完了。FATFはこれを確認し、ナイジェリアのAML/CFT体制が国際基準に照らし、「大幅に改善された」と評価した。

ナイジェリア中央銀行(CBN)は、同決定を歓迎し、今回の除外によって、「コンプライアンスコストの削減」「国際金融アクセスおよび越境取引の円滑化とコスト削減」「貿易決済や送金処理の迅速化」「外国為替アクセスの予測可能性の向上」が期待されると述べた。さらに、企業活動の活性化、金融包摂の進化、国民生活の向上が見込まれるとしている。

CBNは、FATF勧告への対応と並行して、金融システム全体の監督・ガバナンス、透明性の向上に取り組み、「銀行・フィンテックへのリスクベース監督制度の導入」「送金・両替事業者への報告義務化とモニタリング強化」「金融情報機関(NFIU)および経済金融犯罪委員会(EFCC)との情報共有・共同捜査」「外国為替コード(FX CODE)や電子外国為替マッチングシステム(EFEMS)といった市場ガバナンスツールの導入」などの改革を実施(2025年3月3日記事参照)。これらの施策が、国際的な監督基準への準拠を高め、金融システムの健全性と信頼性の向上に寄与したと強調した。

(注1)FATFは、1989年にG7の主導で設立。拡散金融とは、大量破壊兵器の開発、保有、輸出などに関わる人物や団体に対して、資金や金融サービスを提供すること。

(注2)9項目のアクションプランには、金融機関のリスク評価、受益者(BO)情報の透明化、金融情報機関(NFIU)の機能強化、国際協力の改善などが含まれる。

(奥貴史)

(ナイジェリア)

ビジネス短信 403455d85b1105ec