武漢市、消費・研究開発・展覧会の3分野で国際的な中心都市へ、アクションプランを発表

(中国)

武漢発

2025年12月17日

武漢市政府は12月5日、国際的な消費外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます研究開発外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます展覧会外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの中心都市を建設するための3年アクションプラン(2025~2027年)をそれぞれ発表した。

消費については、2027年までに社会消費品小売総額を1兆700億元(約23兆5,400億円、1元=約22円)超とするとしたほか(注1)、観光客数を年平均8%以上、また外国人観光客数を年平均30%以上増加させる目標を掲げた。優良な市場主体の誘致・育成に取り組み、「サービス業開放拡大総合試行事業」(2025年4月16日記事参照)を推進し、現代サービス業の産業クラスターを構築する。良好なビジネス環境と消費環境の醸成に向け、市場参入ネガティブリスト(2025年5月1日記事参照)を着実に実施し、消費に関する制限措置を段階的に削減する。「国際化消費環境試験都市(注2)」の整備のため、新たな国際サービス施設の建設や既存施設のグレードアップを支援する。多言語サービスの強化や海外のクレジットカードなどの決済の利便性向上を図る。そのほか、消費拡大に向けた長期的な仕組みを整備し、財政・産業・投資など関連政策との連携を強化する。あわせて、観光、スポーツ、医療、養老サービス、教育(注3)、飲食などの分野で個別政策を策定し、政策の相乗効果を得る。

研究開発については、2027年までに研究開発に従事する人員を30万人以上とし、研究開発能力を大幅に向上させるほか、1万人当たりの高付加価値の発明特許保有数を50件超えとするなどの目標を掲げた。国際的な研究開発機関を誘致し、技術や人材、資金などイノベーション資源を導入する。市内の外資系企業が研究開発拠点を設立することを支援し、高等教育機関や海外の研究機関などとの連携を通じて、技術開発の推進、共同イノベーションプラットフォームの構築、研究開発人材の育成を進める。2027年までに、新たに外資系企業を1,000社誘致し、外資系の研究開発センターは30カ所を達成する。次世代産業の発展に向け、スマートロボットや光電融合(注4)、量子科学、新材料、合成バイオなどを重点分野として、「新物種企業(注5)」のクラスターを育成する。

展覧会については、2027年までに各種展示会やイベントを1,200回開催し、国際的な展覧会を80回実施する。国際的な外交イベントや重要な会議を積極的に開催し、中国-北欧経済貿易協力フォーラム(2025年10月20日記事参照)など国際的なハイレベル会議の開催を進める。各区では、特色あるブランド消費展示会の誘致・育成を奨励し、飲食・宿泊、消費娯楽などのサービス業の連動的な発展を促す。

(注1)なお、湖北省の次期5カ年規画(2026~2030年)の制定に向けた建議では、大型消費の更新・高度化の推進などを通じた消費振興を提起しているほか、産業振興の面では、次世代産業の育成に向けて、次世代製造、次世代情報、次世代材料などを重点分野としてビジネスモデルなどを模索するとしている。詳細は2025年12月10日記事参照

(注2)中国商務部は、消費資源が集積する、国内外の消費市場における最重要な拠点として「国際消費中心都市」の建設を提唱している。2025年11月には、「国際化消費環境建設試験都市」として、武漢市を含む15都市が選定されている。なお、2025年3月には、中国商務部より「国際消費中心都市」育成のための政策措置も発表されている(2025年4月1日記事参照)。

(注3)教育に関連し、本アクションプランでは「国際教育イノベーション試験区」の建設を提唱しており、その一環で外国人学校を適切に運営するとしている。そのほか、武漢市の高等教育機関が国際交流を展開することを支持し、「留学武漢」のブランド構築を推進するとしている。

(注4)光信号を伝達する回路と、電気信号を伝達する回路を融合する技術。

(注5)新物種企業とは、技術や産業、ビジネスモデル、業態において新規性を有し、質の高い発展を牽引するハイテク企業。

(廣田瑞生)

(中国)

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