湖北省の次期5カ年計画、次世代産業の発展や消費振興を提起

(中国)

武漢発

2025年12月10日

中国共産党湖北省委員会は11月22日に開催した第12期第11回全体会議において、第15次5カ年規画(2026~2030年)の制定に向けた建議が審議・採択されたと発表した。建議では、中部崛起(注1)の重要戦略拠点の建設を加速し、2030年までに決定的な進展を遂げるとしており、それに向けて湖北省の経済社会発展に関する目標を設定した。

産業面(注2)では、自動車、鉄鋼、石油化学などの重点分野で設備更新やデジタル化・スマート化を図る方針が示された。新興産業では、光電子情報産業の「独自の優位性」を強化し、世界的なメモリ産業拠点を形成するほか、インテリジェント・コネクテッド・ビークル(ICV)やスマートフォンなどのスマートデバイス産業の成長を加速させる。次世代産業の強化として、次世代製造、次世代情報、次世代材料などを重点分野としてビジネスモデルなどを模索するほか、第6世代移動通信システム(6G)など新たな競争領域を先取りし、新たな経済成長の原動力を育成するとした。

消費面(注3)では、自動車や住宅などの大型消費の更新・高度化を推進し、高品質な住宅供給の拡大や自動車流通・消費の改革を加速する。「首発経済(注4)」に注力し、国内外の質の高いブランドの湖北省における初出店を促すとした。さらに、教育や医療などのコスト削減と同時に、消費ローンの利子補助などの消費者への直接的な優遇政策を実施し、消費意欲の向上を図る。

都市開発では、全国経済センター、国家科学技術イノベーションセンター、国家商貿物流センター、国際交流センター、地域金融センターの構築など、武漢市の国家中心都市建設を支援するとした。また、武漢市、襄陽市、宜昌市の3都市を「ゴールデントライアングル」として、インフラの「ハード面での連結」から、イノベーションや産業、民生面での協力といった「ソフト面での連携」へと発展させ、総合的な競争力を高める方針が示された。

対内・対外開放については、近隣の湖南省、江西省との間で産業や交通、エコシステム、文化観光、開放、民生面での協力を深化させ、長江中流の都市群と科学技術のイノベーション共同体を構築する。また、湖北省では対内・対外両側面での開放を続け、国内外の市場、資源を効果的に活用し、内需の循環と外需の循環を調和させるとした(注5)。

(注1)中国中部地域を対象に、工業化の推進と交通インフラの整備をめざす計画。2004年、当時の温家宝首相が第10期全国人民代表大会第2回会議の政府活動報告で提唱した。

(注2)なお、2024年の湖北省のGRPは約6兆13億元(約132兆円、1元=約22円)となり、同省の第14次5カ年規画で掲げた「2025年までに経済規模6兆元超え」の目標を1年早く達成した。

(注3)なお、第14次5カ年規画の期間の成果として、社会消費品小売総額は2020年の1兆8,000億元から2024年の2兆5,300億元まで拡大し、年間平均成長率は8.9%に達した。2025年1~9月では、全国より0.7ポイント高い前年同期比5.2%増となった(詳細は2025年11月10日記事2025年9月26日付地域・分析レポートを参照)。

(注4)「首発経済」は、企業による新製品の発表、新業態・新モデル、新サービス、新技術の導入、店舗の開業などの経済活動の総称。これまでになかった新たな製品やブランドを出店することで、経済を振興させることを目的とする。

(注5)関連して、習近平国家主席は2020年4月の中国共産党中央経済委員会第7回会議で、国内大循環を主体とし、国内と国際の2つの循環が相互に促進する「双循環」を提唱している。

(廣田瑞生)

(中国)

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