パリ司法裁判所がシーインのサイト停止の訴えを棄却、フランス政府は控訴

(フランス 、中国、EU )

パリ発  

2025年12月24日

パリ司法裁判所は12月19日、ファストファッション大手のシーインのサイトを停止するよう求めたフランス政府の訴えを棄却した。11月初めにシーインのプラットフォーム上で児童を模した成人向けの人形や特殊な武器に分類されるナイフなど違法な商品が販売されていたことが判明した。政府は公共秩序に深刻な影響を及ぼしているとして、同サイトの3ヵ月間停止、または少なくとも売買取引を行うマーケットプレイスの停止継続を命じるよう裁判所に提訴していた。

裁判所は、利用者の多いシーインのプラットフォーム上での違法な商品の販売は、明らかに公共秩序、未成年者の保護に危害をもたらしている、としつつ、違法な商品が継続的かつ大量に販売されていたという証拠はなく、シーインが違法な商品の削除のために厳格かつ迅速に対応したことは明らかであるとした。また、サイトの停止は、企業の自由な事業活動を行う権利に不当な制約を加えることとなり、重すぎる処分と判断した。

ただし、裁判所は、成人向けの商品に関しては、未成年者が当該商品にアクセスできないよう本人の自己申告以外の年齢確認措置を実施するよう命じた。違反の場合、最大12カ月の間、違反1件につき1万ユーロの罰金を科す。

政府は、裁判所の決定を正式に受領したとしつつ、控訴する意向を示している。

また、政府は、EUレベルでも欧州委員会が未成年者、消費者、事業者を保護するための断固たる措置を講じるよう、EU諸国に働きかけ続けるとし、加えて、少額輸入貨物への関税免除の改革に積極的な姿勢をあらためて表明した(2025年5月8日記事参照)。

なお、EUの経済・財務相(ECOFIN)理事会は、12月12日、越境ECの150ユーロ未満の小包に2026年7月1日から3ユーロの固定関税を課すことに合意した(2025年12月17日記事参照)。小包の中に複数の異なる製品がある場合、製品毎に3ユーロの課税とする。

同措置は、EU域外からの150ユーロ未満の少額輸入貨物に対する関税免税措置の廃止が見込まれる2028年までの暫定的措置(2023年5月18日記事参照)だ。関税の免税撤廃後は、150ユーロ未満のすべての物品の個々の商品に対し、通常のEUの関税が適用される。

(奥山直子)

(フランス 、中国、EU )

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