オランダ政府、2026年2月1日から、150ユーロ未満の少額小包削減に向けた措置をとる方針
(オランダ、中国、EU)
アムステルダム発
2025年12月19日
EU域内で、消費者が第三国から直接輸入する電子商取引(EC)商品は急増している。欧州委員会によると、2024年にEU域内に輸入された低価格商品(150ユーロ以下)は46億点に達し、2023年(24億点)のほぼ2倍、2022年(14億点)の3倍以上に増加した。2024年にEU域内へ流入した150ユーロ以下のEC商品の91%は中国からで、その数量は2023年から2024年にかけて19億点から41億7,000万点へと倍増した。
EU27カ国の財務相は11月13日、150ユーロの関税免除基準を廃止し、2028年半ばの「EU関税局」と「EU関税データ・ハブ」の設立(2023年5月18日記事参照)に先立ち、2026年のできるだけ早い時期から第三国からのEC商品に取扱手数料を課すことで合意した。その目的は、海外の一部EC事業者による低価格の輸入品の膨大な流入に対抗できないと訴えるEUの小売業者や製造業者に、公平な競争環境を創出することにある。
オランダは、2026年11月に導入予定のEU全域での取扱手数料導入に先立ち、2026年2月1日から150ユーロ未満のEC商品に対する国内取扱手数料の導入を計画している。EU全域での取扱手数料が発効次第、オランダ国内の取扱手数料は廃止される。
オランダ国内の取扱手数料の対象となるEC商品は次の条件を満たすものだ。
- EU域内の消費者に直接配送されるもの
- 消費者がEU域外から注文したもの
- 150ユーロ未満のもの
取扱手数料は、通関申告品目ごとに2ユーロ。手数料への付加価値税(VAT)は課されない。
オランダ税関によれば、フランス、ベルギー、ルクセンブルク、ルーマニア、ポーランド、デンマークなど複数のEU加盟国がEU全域での導入に先立ち、同様の国内取扱手数料を導入する見込みのため、オランダは欧州委員会によるEU全域での導入時期を待てない状況となっている(2025年5月8日記事参照)。EU域内へのEC商品輸入総量の約40%がオランダを経由しており、オランダが導入に後れを取れば、さらに多くのEC商品がオランダに流入し、オランダ税関の処理能力を超過する恐れがあるとしている。
ただし、オランダ国内取扱手数料の導入は、現在審議中の「オランダ一般関税令」改正および他国の動向に基づくため、実施は確定していない。
また、EU理事会(閣僚委員会)は12月12日に、取扱手数料とは別に、同じく150ユーロ未満の少額小包に対して、3ユーロの関税を2026年7月から導入することに合意したと発表している(2025年12月17日記事参照)。
(新岡由紀)
(オランダ、中国、EU)
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