WTO、タイの関税・外資規制を指摘、OECD加盟に期待示す
(タイ)
バンコク発
2025年12月26日
WTOは12月1~3日、加盟国間で定期的に行われる「貿易政策検討(TPR)」(注1)の一環として、タイの貿易政策・慣行に関する第9回評価を実施
した。2037年までの高所得国入りを目指すタイに対して、WTOは行政サービスの現代化やデジタル化の進展を評価する一方、高関税や外資制限、国有企業といった構造的な貿易・投資上の課題が成長を妨げていると指摘した。
関税面では、2025年時点のタイの最恵国待遇(MFN)関税率が平均14.3%である一方、農産品は30.9%と平均の2倍を超える水準であるほか、自動車分野も手厚く保護されていると分析。また、政府の税収全体に占める関税の寄与率は4%(2024年時点)にとどまるとし、関税が財政的な検討よりも、通商戦略的な目的で活用されていると述べた。
サービス分野はGDPの59.2%、雇用の48.8%を占め、観光部門がサービス輸出を牽引する一方、サービス貿易には参入障壁があるとした。例えば、WTOによれば、タイの「サービス貿易制限指数」は、金融や通信などの全調査項目で、世界とASEANの平均値を上回っている(注2)。投資規制についても、外国人事業法(FBA)(2024年9月3日記事参照)のほか、産業分野ごとの法令に基づき、外国資本比率の上限や許認可要件が残っているとした。
国有企業に関しては、市場競争を阻害する最大の要因の1つに挙げ、政府が資本の過半数を所有する国有企業の資産は、GDPの88%に相当し、歳入の24%を生み出していると分析(2024年時点)。金融、エネルギー、運輸などの分野で国有企業の影響力が強く、また安全保障や公共の利益を理由とする場合、競争法の適用が免除される。
OECD加盟を通じた構造改革に期待
タイはこれまで、2024年のWTO貿易円滑化協定(TFA)の完全履行、2022年のWIPO著作権条約加盟による知的財産保護の強化、地理的表示(GI)申請を促すオンラインシステム導入などを実施している。また、WTOによれば、タイはさまざまな投資優遇措置を有しているが、特に、電気自動車(EV)(2025年12月4日記事参照)やスマートエレクトロニクス分野での恩典付与に重点を置いている。
WTOからは、2024年のタイによるOECD加盟に向けた意向表明(2024年1月18日記事参照)に期待が示された。同年7月、タイの加盟に向けたロードマップがOECDに採択され、2030年までの加盟が目標として設定されている。特に、汚職防止に関わるOECD贈賄防止条約による構造改革を通じて、タイが「中所得国のわな」を回避し、持続可能な競争力を強化することが望ましいとした。
(注1)貿易政策検討(TPR)は、WTO協定上の義務として、加盟国の貿易政策・関連政策を定期的に調査・評価する取り組み。全てのWTO加盟国が評価対象で、評価の頻度は国の規模によって異なる。
(注2)「サービス貿易制限指数」の調査対象項目はプロフェッショナル・コンピュータ・通信・建設・配送・金融・健康・観光・物流の9項目。また、調査対象国は世界136カ国で、ASEANはインドネシア、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムの7カ国。調査は2022年時点。
(藪恭兵)
(タイ)
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