外国人事業法にかかる取り締まりに注意

(タイ)

バンコク発

2024年09月03日

委託生産を請け負う独資の日系製造業をターゲットに、昨今、タイ経済警察から外国人事業法(FBA:Foreign Business Act,BE2542)違反容疑で召喚状が送付され、事情聴取を受ける動きが見られることが、ジェトロの調べでわかった(8月30日時点)。

タイには国内産業保護などの国策上、外国資本による事業を規制する外国人事業法があり、現行法は1999年に改正、2000年3月に施行されている。違反すると、規制事業を行った外国人はもちろん、規制事業に協力した外国人やタイ人に対しても、最大「3年の禁錮刑」と「罰金100万バーツ(約430万円,1バーツ=約4.3円)」が科される。

製造業は一般的にFBAの適用対象外のため、タイの日系製造業は独資での進出が圧倒的に多い。しかし、委託生産、金型製造、メッキ、表面処理については、FBAを管轄するタイ商務省事業開発局(DBD:Department of Business Development)では、サービス業に分類され、FBAの適用対象となることに留意が必要だ。

これらの事業については、外資マジョリティーの製造会社では、基本的に取り扱うことはできないが、委託生産がサービス業に分類され、FBAの対象になることを知らずに行っている独資の日系製造業が少なからずあるようだ。タイ投資委員会(BOI:Board of Investment)の製造ライセンスを取得した製造業は、外国人事業証明書(FBC:Foreign Business Certificate)をDBDに申請し、取得する義務があり、FBCを取得していれば、委託生産でもFBAの適用を免れる。なお、BOI製造ラインセンスを保有しない製造業でも、タイ工業団地公団(IEAT:Industrial Estate Authority of Thailand)管轄の工業団地に入居している場合は、IEAT経由でFBCを申請、取得することが可能だ。

BOI製造ライセンスを保有せず、IEAT管轄の工業団地以外に入居する外資マジョリティーの製造業が委託生産を請け負うには、DBDから外国人事業ライセンス(FBL:Foreign Business License)を取得する必要があるが、FBCに比べて取得のハードルは高い。

(高谷浩一)

(タイ)

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