OECD加盟に向けた意向表明書を閣議承認

(タイ)

バンコク発

2024年01月18日

タイの閣議で12月26日、国家経済社会開発評議会(NESDC)が提案したOECD加盟に向けた意向表明書(Letter of intent:LOI)が承認された。1月16日付の国営タイPBSなど複数のメディアによると、LOIはOECDに既に提出されたという。世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)に参加するため欧州に渡航しているセター・タビシン首相は、渡航中にOECD加盟に向けた交渉も行う予定だ。OECD加盟により、タイは外国投資家からの信頼を得ることでき、さらなる投資獲得に追い風となることが期待されている。実際に加盟するまでには5~7年を要する見通し。

閣議承認を受けて、内閣はOECD加盟にかかる中核的な調整役として、NESDCと外務省を任命した。また、OECDが規定する条件に関係する省庁・機関は加盟のためにあらゆる必要な行動をとるよう指示された。NESDCは主要な担当省庁として、次のように割り振りを行った。

  1. 加盟準備:OECDの要求する基準を満たし、OECDの法的文書に対応していくための法・規制上の改善(担当:法制委員会事務局)
  2. OECDの価値観と加盟国の義務に対する国家のコミットメント:自由な直接投資への開放性、労働者の権利、メディアの自由、腐敗防止、人材育成など、OECDの価値観やビジョン、義務の順守にかかるコミットメント(法務省)
  3. 制度的枠組みの作成:官僚行政、競争法の執行など(公共部門開発委員会)
  4. 主要経済指標の提供:GDP、輸出・輸入・サービス、失業率、直接投資の累積額(NESDC)
  5. OECDとの関係構築:OECD委員会への参加、法的文書の取り組み、OECDの協力プログラムへの関与(外務省)

タイでは2022年2月に、OECD加盟に向けた実現可能性調査(FS)を実施することが閣議決定された。タイ開発研究所(TDRI)は同年9月にFS結果を発表。OECDに加盟する上で多面的な構造改革が必要となり、国際水準に基づく競争力が強化されるなどのメリットが明らかとなった。NESDCと外務省は2023年4月にOECDと会合を行い、同年5月に41省庁・関連機関と議論を行った上で、LOIの起草に至った。

LOIの草案には、OECDの基準に沿った国内の規制・ルールを迅速に改善することや、ビジネス環境改善に向け必要な基準を順守することなどの決意表明を記載している。また、OECDに加盟することで、OECD側はタイと連携した活動が可能となり、インド太平洋地域、特に東南アジアやメコン地域への関与・影響を増大させることができるとしている。なお、ASEANの中では、インドネシアもOECD加盟の意向を示している(2023年9月13日記事参照)。

(北見創、シリンポーン・パックピンペット)

(タイ)

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