特殊鋼分野の生産連動型奨励策(PLI)、3次募集を開始

(インド)

ニューデリー発

2025年11月11日

インド鉄鋼省は11月4日、特殊鋼分野の生産連動型奨励策(PLI、注)(2021年11月4日記事2022年12月15日記事2025年1月17日記事参照)の3次募集を開始外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。本スキームは、超合金、冷延方向性電磁鋼板(CRGO)、ステンレス鋼条鋼・板鋼、チタン合金、コーティング鋼といった次世代産業および防衛用途に不可欠な材料である先進的かつ新興分野への新たな投資を誘致することを目的としている。

申請企業は、鉄鉱石、スクラップ、スポンジ鉄、ペレットなどの原料を国内で溶解・鋳造し、製造工程の全てを国内で完結させ、生産品目ごとに定められた最低投資額、最低生産能力などの基準を満たすことが求められる。

PLIの認定を受けた企業が申請どおりに投資計画を進めて基準を満たした場合、2025年度(2025年4月~2026年3月)から最長5年間、生産品目と時期に応じて、売り上げ増分に対して一定割合を掛けた額のインセンティブ(補助金)が、年間20億ルピー(約34億円、1ルピー=約1.7円)を上限に支給される。申請期間は2025年11月4日から30日間で、専用ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますから申請を行う必要がある。

同省の発表によると、1次募集および2次募集を通じて、既に計4,387億4,000万ルピーの投資を呼び込み、3万760人の直接雇用、新たに1,430万トンの特殊鋼の生産能力の拡大が期待されている。なお2025年9月時点では、1次募集および2次募集に参加した企業は2,297億3,000万ルピーを投資し、1万3,284人の雇用を創出している。H・D・クマラスワミ鉄鋼相兼重工業相は「この取り組みを通じて、インド向けの鉄鋼生産だけでなく、インドから世界に供給することを目指している」と述べた。

(注)「生産連動型奨励策(PLI)」は、インド政府が2020年度に導入した国内製造業振興の目玉政策。対象となる全14分野について、分野ごとの適格基準を満たせば、新規工場を設立した製造業企業に対し、売上高の増加額などに応じてインセンティブ(補助金)を支給するスキーム。

(花村大樹)

(インド)

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