タイ関税局、2026年1月から電子商取引上の外国製品に課税する方針
(タイ)
バンコク発
2025年11月11日
タイ関税局は11月5日、アヌティン政権下での関税政策を発表
した。タイ関税局のパントン・ロイクルナン局長は、4カ月以内に政策を実現する計画を明かした。9月に発足したアヌティン政権(2025年9月26日記事参照)は、発足4カ月以内の下院解散を主張しており、今回の発表は、政権任期内に一定の成果を出す狙いがある。
タイ国営放送PBS(11月5日)によると、パントン局長は、2026年1月1日から、オンラインプラットフォームで販売される外国製品に対して、平均10~20%を課税する方針を示した。関税局の試算によると、同プラットフォームを通じて輸入される商品総額は年間約350億~400億バーツ(約1,680億~1,920億円、1バーツ=約4.8円)に上る。関税局は今後、付加価値税(VAT)や物品税を含む、包括的な税制への転換を目指し、デミニミス(最低課税価格)基準の撤廃も検討中という(注1)。
パントン局長は、今回の課税による価格上昇の可能性を認めつつ、「外国工場から輸入される商品は、国内の雇用や原材料の使用に貢献していない。国民にはこの現実を理解してほしい」と述べた(現地紙「Naewna」11月5日付)。政策発表後の11月7日には、ラザダ(Lazada)、ショッピー(Shopee)、ティックトック(TikTok)などのオンラインプラットフォームの運営会社と協議を行ったもよう。
米国との通商合意に基づき、関税上の報奨金制度の廃止も準備中
さらに関税局は、タイと米国との貿易交渉の一環として、「関税局報奨金支払規則」(1974年成立)を改正し、幹部職への報奨金制度を廃止する方針を発表した(注2)。上限500万バーツとされる局長および関税局幹部への分配金の廃止も含まれる。タイと米国との間では、関税法上の違反・罰金に関わる報酬制度の撤廃が、通商合意に盛り込まれている(2025年11月7日記事参照)。
(注1)関税局は2024年7月に、CIF価格が1,500バーツ以下の少額貨物の輸入について、VATと物品税の課税対象とする(関税は免除)措置を発表(2024年7月9日記事参照)。同措置は2025年末まで延長されている(関税通達第232号
、同第233号
)。
(注2)違法な貿易取引の摘発につながる情報を提供した外部協力者への報奨金支払いは継続する予定。
(藪恭兵、シリンポーン・パックピンペット)
(タイ)
ビジネス短信 f72994dc2c16357a




閉じる
