韓国、COP30で「脱炭素連盟(PPCA)」への参加を宣言
(韓国、ブラジル)
ソウル発
2025年11月26日
ブラジルの北部ベレンで、11月10日から22日にかけて国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)が開催された(2025年11月25日記事参照)。韓国は、金星煥(キム・ソンファン)気候エネルギー環境部長官が首席代表として、鄭奇鎔(チョン・ギヨン)外交部気候変動大使が代理首席代表として参加した。また、気候エネルギー環境部のほか、外交部、産業通商部、企画財政部、科学技術情報通信部、海洋水産部、農林畜産食品部、国務調整室(カーボンニュートラル・グリーン成長委員会)、山林庁、気象庁など関係省庁の担当者と専門家で構成された政府代表団が参加した。
韓国代表団は、削減(Mitigation)や資金(Finance)、グローバル・ストックテイク(Global Stocktake)など主要議題について「環境保全グループ(EIG)」(注1)の立場で発信した。交渉グループの枠を超え、積極的な2国間・多国間の対話をすることで、主要争点における合意形成を促進した。
さらに、気候エネルギー環境部の金長官は11月18日の高官級会合において、韓国の新たな2035年国家温室効果ガス(GHG)削減目標(NDC)を国際社会に向けて発表した(2025年11月13日記事参照)。
その前日の11月17日には、石炭火力発電の段階的廃止を目指す国際協力イニシアティブである脱炭素連盟(Powering Past Coal Alliance, PPCA)への参加を宣言した(注2)。
これらの動きを踏まえて、金長官は「気候エネルギー環境部は今後も国際社会と協力し、地球レベルでの脱炭素転換に積極的に取り組むことで、韓国が脱炭素・グリーン文明を築ける模範国家となるよう努力する」としている。
一方、NDCの発表と脱炭素連盟への参加について、懸念も出ているようだ。例えば、朝鮮日報(11月19日付)は「政府が韓国のエネルギー安全保障と産業競争力に悪影響を与えかねない約束を国際社会に乱発した、という批判が出ている」と報じている。
(注1)韓国、スイス、メキシコ、モナコ、リヒテンシュタイン、ジョージアで構成される気候変動交渉グループ。
(注2)2017年11月にドイツ・ボンで開催されたCOP23で発足。現在、180以上の国家政府、地方政府、企業などが参加しており、韓国は忠清南道、京畿道が地方政府として参加している。日本や中国などは参加しておらず、アジア諸国の中ではシンガポールに続いて2番目の参加となる。
(橋爪直輝)
(韓国、ブラジル)
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