国連安保理、ガザ復興へ平和評議会と国際安定化部隊設置を決定

(米国、イスラエル、パレスチナ、ロシア、中国)

テルアビブ発

2025年11月18日

国連安全保障理事会は11月17日、米国が提示した「ガザ紛争終結のための包括的計画」に基づき、パレスチナ自治区ガザ地区の暫定統治機関の平和評議会と国際安定化部隊(ISF)設置を承認する安保理決議第2803号を採択外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

包括的計画は2段階で進められ、第1段階では停戦の確立、人質や拘束者の解放、イスラエル国防軍(IDF)の部分撤退、人道支援の拡充が実施された。第2段階ではハマスの武装解除や、IDFのさらなる撤退、イスラエル治安部隊の展開、平和評議会の下で暫定的な技術官僚政府を設立し、最終的にパレスチナ自治政府への権限移譲を目指すとしている。計画では、2026年までに約2万人規模の国際安定化部隊を展開することが想定されている。

採択では、常任理事国はフランス、英国、米国の3カ国、非常任理事国は全10カ国(アルジェリア、デンマーク、ギリシャ、ガイアナ、パキスタン、パナマ、韓国、シエラレオネ、スロベニア、ソマリア)の計13カ国が賛成し、常任理事国の中国とロシアは棄権した。

米国のマイケル・ウォルツ国連大使は採決に先立ち、「この決議は単なる紙の約束ではない。命綱だ」と述べ、「反対票は戦争への回帰を意味する。時間は平和の味方ではない」と警告した。採決後には、決議が「ガザの安定と繁栄に向けた重要な一歩」であり、「イスラエルの安全確保とパレスチナ人の自決を両立させる枠組みを提供する」と強調した。さらに、平和評議会が人道支援の調整やガザの行政運営を担い、ISFが治安維持、武装解除、民間人保護を実施することを説明した。

一方、棄権したロシアのワシリー・ネベンジャ国連大使は、決議が「2国家・2民族の原則を維持していない」と指摘し、さらに、ISFに平和執行権限を付与することで、紛争当事者となる恐れがあると批判した。

中国の傅聰国連大使は、決議が平和評議会やISFの権限を曖昧にしていることや、パレスチナの主権や「二国家解決」を明確に保証していないこと、さらに、国連の役割が限定され協議不足のまま採択されたことを批判した。

イスラエルとハマスの衝突の詳細については、ジェトロの特集を参照。

(中溝丘)

(米国、イスラエル、パレスチナ、ロシア、中国)

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