米国テネシー州特別選挙で民主党候補が追い上げ接戦に、世論調査
(米国)
調査部米州課
2025年11月27日
米国テネシー州の連邦下院(第7区)特別選挙が12月2日に行われるが、直前の世論調査では、共和党、民主党の支持率が2ポイント差となり接戦になるとみられる。
マサチューセッツ州ボストンのエマーソン大学は11月26日、テネシー州連邦下院第7区の特別選挙に関する世論調査結果(注1)を発表した。それによれば、投票を想定した問いに対して、共和党候補のマット・バン・エップス氏(同州一般サービス局長)の支持率が48%、民主党候補のアフティン・ベーン氏(州下院議員)が46%となった。10月に実施された各種世論調査(注2)では、バン・エップス氏が8ポイントリードしていた。
同大学世論調査のエグゼクティブディレクターのスペンサー・キンボール氏は、この特別選挙は、実際に投票する人口グループにかかっているとし、「期日前投票をする人ではベーン氏の支持率が56%とバン・エップス氏(42%)を上回り、投票日に投票する予定の人では、バン・エップス氏が51%とベーン氏(39%)を上回る」と述べた。
最大の関心事としては、経済が最大の38%で、住宅価格(15%)、医療(13%)、民主主義への脅威(13%)が続いた。
9月のバージニア州やアリゾナ州の特別選挙では民主党候補が勝利し、(2025年9月12日、9月25日記事参照)、11月には2つの州知事選とニューヨーク市の市長選でも経済問題に焦点を当てた民主党候補が勝利した(2025年11月6日記事参照)。
ベーン氏は、住宅価格高騰を選挙運動の焦点とし、共和党の歳出法案やドナルド・トランプ大統領の関税政策を強く批判している。また、南部では「十分な投資が行われず、見過ごされてきた」とし、全米がこの特別選挙に注目していることを歓迎している(CNN11月24日付)。
他方、バン・エップス氏を支持するトランプ氏は、テレビ集会を開催するなど共和党支持者の投票率向上に努めた(ナッシュビル・バナー11月14日付)。
テネシー大学ノックスビル校のウィリアム・ライオンズ政治学名誉教授は、「連邦議会が均衡しているため(注3)、どの選挙も極めて重要になる。各政党はテネシー州第7区のような僅差の選挙区に引き続き多額の資金を投入し、全国的な影響を及ぼすような大変動を起こそうと、あるいは阻止しようと努めるだろう」と述べた(「ニューズウィーク」誌11月24日付)。
(注1)実施時期は2025年11月22~24日。対象者はテネシー州第7区の投票予定者600人。
(注2)ワークベンチ・ストラテジーズの調査(2025年10月15~19日実施)、インパクト・リサーチの調査(2025年10月16~19日実施)では、いずれもバン・エップス氏の支持率52%、ベーン氏44%。
(注3)各政党の議席数は、共和党219、民主党213、空席3。
(松岡智恵子)
(米国)
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