欧州航空会社21社、SAFなどのカーボンオフセットによるグリーンウォッシュをしないと誓約

(EU)

ブリュッセル発

2025年11月13日

欧州委員会は11月6日、欧州の航空会社21社が持続可能な航空燃料(SAF)を用いた二酸化炭素(CO2)排出の相殺(カーボンオフセット)などに関し、誤解を招く環境訴求を変更することを約束したと発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。対象となるのは、EU加盟国の関係当局からなる消費者保護協力ネットワークが誤解を招くと認定した表現だ。これらの航空会社は今後、こうした環境訴求を行わないことで同意し、順次、次の方針で表現を変更するとしている(今回の誓約に参加する航空会社と各社の取り組み状況は添付資料表を参照)。

  1. 気候変動対策事業への寄付により、特定のフライトのCO2排出は相殺、あるいは直接的に削減できないことを明確にすること。
  2. SAFの購入により、特定のフライトのCO2排出は相殺、あるいは直接的に削減できないことを明確にすること。
  3. 「SAF」という用語を使用する場合には、適切な説明を加え、その根拠を示すこと。
  4. 「グリーン」など環境に関する曖昧な表現や用語を使用しないこと、あるいは暗黙的な環境訴求をしないこと。
  5. 「温室効果ガス(GHG)排出のネットゼロ達成」などの将来的な環境性能に関する主張には、明確なタイムライン、達成可能な手順、対象となる排出の種類などの情報を提供すること。
  6. CO2排出量の計算を提示する場合には、明確かつ透明な方法で行うこと。
  7. 環境性能の比較で、「よりグリーンな」や「よりサステナブルな」など、不明確または根拠のない表現を使用しないこと。

EUは航空業界のCO2排出削減の切り札として、SAFの域内生産と使用を推進している(2025年11月11日記事参照)。一方で、SAFなどの環境訴求製品には、曖昧、誤解を招く、あるいは根拠のない表現が使用されることが多い。そこで、EUは不公正取引方法指令(2024年2月21日記事参照)を改正し、こうしたグリーンウォッシュ(実質を伴わない環境訴求)を禁止している。加盟国の消費者保護当局は今後、今回の約束事項が適切に実施されるか監督を続けるとしている。

(吉沼啓介)

(EU)

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