EU、グリーンウォッシング禁止法を採択、根拠ない「環境に優しい」など表示禁止

(EU)

ブリュッセル発

2024年02月21日

EU理事会(閣僚理事会)は2月20日、グリーンウォッシング(実質を伴わない環境訴求)を禁止する指令案を正式に採択した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。指令案は、グリーンウォッシングを用いたマーケティング方法を禁止することで、消費者が製品を購入する際に、適切な情報を得た上で判断できるようにすることを目的とする。

同指令案は、欧州委員会が2022年3月に、持続可能な製品政策枠組みのパッケージ第1弾(2022年4月4日記事参照)として提案。現行の不公正取引方法指令などを改正するものだ。今後、EU官報への掲載から20日後に施行され、加盟国による国内法化を経て、施行30カ月後から適用が開始される。

指令案はまず、環境や社会への影響、耐久性、修理可能性などの製品の循環性を、誤解を与えてはならない製品の要素と規定。環境訴求に関しては、測定可能な目標や達成期限など現実的な実施計画を伴い、独立した第三者機関による定期的な検証を受けた、明確かつ客観的で検証可能なコミットメントがない場合、誤解を招くマーケティング方法として禁止する。その上で、原則禁止とするマーケティング方法として次を明示する。

  • 実証できない一般的な環境訴求。具体的には、「環境に優しい」「エコロジカル」「グリーン」「自然に優しい」「エネルギー効率の良い」「生分解性」「バイオベース」などの表示を用いたマーケティングを禁止する。
  • 製品や企業活動の一部にのみ該当する環境訴求をもって、製品や企業活動全体に関する環境訴求を行うこと。
  • カーボン・オフセット(注)のみに基づき、環境への悪影響が軽減されたなどと訴求すること。
  • 承認済みの認証スキームあるいは公的機関以外が提供する持続可能性に関するラベルを表示すること。

なお、実質を伴う環境訴求については、指令案の適用開始後も認められる。環境訴求を行う上で満たすべき最低要件は、EU理事会と欧州議会で現在審議中の指令案(2023年3月30日記事参照)で別途規定される見込み。

このほか、製品の循環性に関する次のマーケティング方法などを原則禁止する。

  • 通常の使用条件下における耐用期間・強度など製品の耐久性に関する虚偽の訴求。
  • 技術上の理由で必要となる時期よりも早い段階で消耗品の交換を促すこと。
  • 製品の製造元以外が提供する消耗品や部品を使用すると故障するとの虚偽の訴求。
  • 機能性向上のためだけのソフトウエアのアップデートを、必要なアップデートと提示すること。

(注)企業が他の場所で実現したGHG排出削減や吸収量などをクレジットとして購入することで、自らの経済活動でGHG排出量の全部あるいは一部を埋め合わせること。

(吉沼啓介)

(EU)

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