第3四半期のGDP成長率は5.2%、堅調な内需と輸出の回復が牽引

(マレーシア)

クアラルンプール発

2025年11月19日

マレーシア中央銀行と統計局は11月14日、2025年第3四半期(7~9月)の実質GDPが、統計局が10月17日に公表した事前推計どおり(10月17日統計局発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))、前年同期比5.2%増となったと発表した。中銀は、堅調な内需と鉱業関連輸出の回復が背景にあると説明した。

需要項目別にみると、内需は5.8%増と引き続き好調だった。うちGDPの6割を占める個人消費は、好調な労働市場と政策支援で5.0%増となった。また、民間投資は7.3%増、政府消費は7.1%増、公共投資は7.4%増だった。さらに、輸出は1.4%増と拡大し、輸入の伸び率(0.4%)を上回ったため、純輸出は17.7%増と増加に転じた(添付資料表1および図参照)。

産業別では、主要産業が軒並みプラス成長となった(添付資料表2参照)。そのうち、液化天然ガス(LNG)と原油生産の回復を背景に、鉱業・採石業は9.7%増となり、5期ぶりにプラスへ転じた。製造業は4.1%増と成長が加速した一方、パーム油などの生産が伸び悩んだ農業は0.4%増にとどまり、伸び率は低下した。また、建設業とサービス業はそれぞれ11.8%増、5.0%増と、依然として好調だった。

中銀は、2025年通年の経済成長率見通しについて、米国との相互貿易協定(2025年10月29日記事参照)署名後も、一部品目の関税率が依然として不明瞭、または高水準にとどまっていることや地政学的緊張の高まりなどを理由に、前回予測の4.0~4.8%(2025年8月22日記事参照)を据え置き、上方修正は行わなかった。一方で、強固な内需に加え、電気・電子製品需要の拡大や観光活動の回復がマレーシアの経済成長を下支えすることから、マイナスの影響にも対応可能との見解も示した。

なお、2025年の総合インフレ率見通しについては、コスト圧力の緩和などを受け、前回予測の1.5~2.3%(2025年8月22日記事参照)から、マレーシア財務省による予想値と同じ1.0~2.0%へと下方修正した。

(戴可炘)

(マレーシア)

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