第2四半期GDP成長率は前年同期比4.4%、通年予測は4.0~4.8%に下方修正
(マレーシア)
クアラルンプール発
2025年08月22日
マレーシア中央銀行と統計局は8月15日、2025年第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率は、事前推計した前年同期比4.5%(7月18日統計局発表)に近い4.4%だったと発表した。中銀は背景には堅調な内需があると説明した。
需要項目別にみると、内需は7.0%増と好調だった。GDPの6割を占める個人消費は、好調な労働市場と政策支援を背景に、5.3%増となった。民間投資は11.8%増、政府消費は6.4%増、公共投資は13.6%増と、いずれも伸びが加速した。輸入は6.6%増と拡大した一方、鉱業の低調によって鈍化した輸出の伸び率(2.6%)を上回ったため、純輸出は72.6%減に落ち込んだ(添付資料表1、図参照)。
産業別では、鉱業・採石業を除き、主要産業で軒並みプラス成長となった(添付資料表2参照)。そのうち、3期ぶりにプラスに転じたパーム油の回復を背景に、農業が2.1%増、サービス業が5.1%増と、成長が加速した。製造業と建設業はそれぞれ、3.7%増と12.1%増となったものの、成長の勢いは鈍化した。鉱業・採石業は5.2%減と、石油と天然ガスの生産縮小により、4期連続でマイナスを記録した。
米国関税の影響にも優位な立場で対応
中銀は7月28日、2025年通年の経済成長率見通しについて、米国の関税政策の不確実性を理由に、前回予測の4.5~5.5%(2025年3月26日記事参照)から、4.0~4.8%へ下方修正する声明を発表した。米国の関税の影響に対し、マレーシアは活発な内需、安定した電気・電子製品の需要、多角化された輸出構造を基盤としつつ、種々の国家戦略や財政改革の実施を通じて経済の強靱(きょうじん)性を高めることで、優位な立場から対応できるとの見方を示した。
2025年の総合インフレ率についても、需要とコストの見通しが緩和されたことを受け、前回予測の2.0~3.5%(2025年3月26日記事参照)から、1.5~2.3%に下方修正した。
(戴可炘)
(マレーシア)
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