欧州環境庁、EUは2030年GHG排出削減目標達成へ順調と評価も、課題も指摘
(EU)
ブリュッセル発
2025年11月19日
欧州環境庁(EEA)は11月6日、2024年のEUの温室効果ガス(GHG)排出量は、前年比2.5%減、1990年比37%減とする年次報告書を発表した(プレスリリース
)。2030年までの削減予測である1990年比54%と、中間目標の55%(2025年6月13日記事参照)に向けておおむね順調と評した。
化石エネルギー源からの脱却は、再生可能エネルギー(再エネ)の開発が加速し、順調に進展しているが、再エネ指令改正法の2030年目標(エネルギーミックスに占める再エネ比率42.5%)(2023年9月20日記事参照)の達成は厳しいと指摘。目標達成には、再エネ設備の年間追加容量を過去5年間の平均と比べ2倍以上、最終エネルギー消費の年間削減量も2倍以上とする必要がある。これらの達成には、ヒートポンプや電気自動車(EV)などの技術が重要な役割を果たすとした。
報告書は今後数年間、(1)2024年のEV新車販売台数が前年比で減少したこと、(2)特定の部門や加盟国のGHG排出削減の停滞、(3)EUの森林や土壌における炭素吸収量の減少傾向などへの対応が必要と指摘。特に、輸送部門は新車当たりのGHG排出量は低下しているものの、輸送需要の拡大が効率化の効果を相殺し、脱炭素化を阻害している。
また、現行政策および追加措置を実施した場合に、2030年までの加盟国の排出削減の分担に関する規則(ESR)の目標値を達成すると予測される加盟国は、15加盟国(ブルガリア、クロアチア、チェコ、デンマーク、ギリシャ、ハンガリー、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルク、ルーマニア、ポーランド、ポルトガル、スロバキア、スロベニア、スペイン)だった。
報告書は、EU理事会(閣僚理事会)が2025年11月5日に2040年までのGHG排出削減目標の立場で合意(2025年11月6日記事参照)したことを挙げ、炭素吸収源の強化や運輸部門の脱炭素化の加速、国家エネルギー・気候計画(NECP)の確実な実施の必要性を強調した。
(大中登紀子)
(EU)
ビジネス短信 c5160a9f4eb13295




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