国連安保理と米国、シリア暫定大統領への制裁とテロリスト指定を解除
(シリア、米国、中東)
カイロ発
2025年11月11日
国連安全保障理事会は11月6日、シリアのアフメド・アル・シャラア暫定大統領への制裁解除を決議したと発表
した。国連は、アサド前政権打倒の中心だった反政府勢力シャーム解放機構(HTS)を2014年にテロ組織に指定し、その指導者だったシャラア氏は資産凍結と渡航禁止の制裁対象となった。今回、シリア暫定政府が人道支援受け入れ、テロ対策、人権保護に取り組むことを受けて、米国主導で決議が実行された。ロシアを含む理事会の15カ国中14カ国が賛成し、中国は棄権した。
翌11月7日、米国国務省はシャラア暫定大統領のテロリスト指定解除を発表
した。同省は、指定解除の理由としてシャラア氏率いる暫定政権が次の点に取り組んでいることを評価した。
- 行方不明の米国人の捜索
- テロおよび麻薬対策に関する公約の履行
- 化学兵器の処理
- 地域の安全保障推進のために尽力
- シリア主導の包括的な政治プロセスの確立に尽力
11月9日付シリア国営通信(SANA)によれば、シャラア暫定大統領は11月9日から米国を公式訪問しており、10日にはホワイトハウスでドナルド・トランプ米大統領と会談した。
2024年12月のアサド政権崩壊を受けて、2025年5月以降、米国、EU、日本(2025年6月3日記事参照)など主要国・地域が相次いでシリアに対する制裁を解除した。トルコ、カタール、サウジアラビアなどの近隣諸国は早くから支援や復興需要に目を向け、シリアへの関与を拡大している(2024年12月19日記事、2025年7月28日記事参照)。
(塩川裕子)
(シリア、米国、中東)
ビジネス短信 9c4251cb5c7cc1f5




閉じる
