ASEAN議長声明、東ティモール加盟を歓迎
(ASEAN、マレーシア、インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス、東ティモール)
ジャカルタ発
2025年11月18日
マレーシア・クアラルンプールで10月26日、第47回ASEAN首脳会合(サミット)が開催された。ASEAN事務局(本部:インドネシア・ジャカルタ)は11月13日までに同サミットの議長声明を公表
した(注1)。
議長声明では、東ティモールが11番目のASEAN加盟国となることを歓迎するとともに、ASEAN共同体の3つの柱(注2)にわたる全ての条約、協定、文書、加盟に向けたロードマップの残りの基準の継続的な実施を求めた。
さらに、2025年5月に開催した第46回ASEANサミットで採択された「ASEAN共同体ビジョン2045」を歓迎し、その経済的基盤となる「ASEAN経済共同体(AEC)戦略計画2026-2030」の効果的な実施への期待を示した。マレーシアの議長国年の下で推進している18の優先経済成果(PEDs)については、既に12が完了しており、残る6つについても2025年内の実施完了に期待を示した。
経済分野に関する議長声明のポイントは次のとおり。
- 世界的な貿易摩擦の高まりと世界的な経済情勢の不透明感の増大、特に関税に関する一方的な措置への懸念を表明。湾岸協力会議(GCC)などとの地域間連携を含め、新規および新興のパートナーとの連携を拡大することにより、貿易の多様化を図る必要性を強調。また、ASEAN-GCC FTA(自由貿易協定)に関する実現可能性共同調査の進展を期待。
- ASEAN地経学タスクフォース(AGTF)による暫定的な勧告が不確実性を増す世界情勢に対するASEANの対応を導く上で時宜を得た戦略的提案だと評価。この提案には、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定と、改定されたASEANプラスワンFTAの完全かつ効果的な実施の確保による地域統合の深化、特定市場への過度な依存を減らすための経済パートナーシップの多様化などを含むとした。
- ASEAN物品貿易協定(ATIGA)の第2次改定議定書の署名開始を歓迎(2025年11月17日記事参照)。
- デジタル計画の方向性を定めたバンダル・スリ・ブガワン ロードマップ(BSBR)の進展を確認。とりわけ、ASEANデジタル経済枠組み協定(DEFA)の実質妥結を歓迎(2025年10月29日記事参照)。
- ASEANシングルウィンドウ(ASW)について、安全性の向上と、外部の電子貿易円滑化プラットフォームとの相互運用性強化を目的とした次世代ASW(ASW2.0)の実施の進展を評価。2026年の運用開始を期待。
- ASEANパワーグリッド(APG)の重要性を確認した上で、多国間開発銀行が支援するAPG資金調達イニシアチブを歓迎。また、アジア開発銀行(ADB)や国際協力銀行(JBIC)、三菱UFJフィナンシャルグループ(MUFG)を含む15以上の投資家や戦略的パートナーによる支援意向に期待を示した。
カンボジアとタイ間の国境紛争の停戦に向けたマレーシアの役割を賞賛するとともに、議長声明の最後の段落で、米国のドナルド・トランプ大統領が停戦合意の全体的なプロセスにわたって果たした重要な役割に謝意を表した。
(注1)第47回ASEANサミットに関わる成果文書については、ASEAN事務局ウェブサイト
を参照。
(注2)ASEAN共同体はASEAN政治・安全保障共同体、ASEAN経済共同体(AEC)、ASEAN社会・文化共同体から構成する。
(大滝泰史)
(ASEAN、マレーシア、インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス、東ティモール)
ビジネス短信 84673771f4a34a66




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