10月のカナダ消費者物価指数、前年同月比2.2%上昇
(カナダ)
トロント発
2025年11月27日
カナダ統計局が11月17日に発表した2025年10月の消費者物価指数(CPI)
は、前年同月比2.2%の上昇となり、9月の上昇率(2.4%、2025年10月24日記事参照)を0.2ポイント下回った(添付資料表参照)。
統計局は減速の主因として、ガソリン価格の下落幅拡大と食料品価格の鈍化を挙げた。10月のガソリン価格は前年同月比9.4%減少し、9月(4.1%減)よりも急落。前月比で4.8%の下落がみられたが、これは安価な冬用ブレンドガソリンへの切り替えや供給過剰懸念による原油安の影響と説明した。ガソリンを除いた10月のCPIは、9月に続き2.6%上昇した。また、10月の家庭用食料品価格は3.4%上昇し、9月(4.0%増)から鈍化したものの、依然として高止まりの状態で、9カ月連続で全体のインフレ率を上回っている。鈍化の要因として加工食品を含むその他の食品(3.2%増)や生鮮野菜(1.4%減)を挙げた。一方で、生鮮・冷凍鶏肉は6.2%上昇し、9月(1.5%増)から回復したため、減速を部分的に相殺した。
一方、物価上昇の要因として、携帯電話サービス料金や保険料の上昇を挙げた。携帯電話サービス料金は前年同月比で7.7%上昇し、9月の横ばいから増加に転じた。複数の通信事業者による値上げを背景に、10月は前月比8.2%上昇した。さらに、住宅所有者向け住宅・住宅ローン保険(6.8%増)や乗用車保険(7.3%増)も上昇した。
発表を受けて、CIBCキャピタルマーケッツのエグゼクティブ・ディレクター兼シニアエコノミストのアンドリュー・グランサム氏は「10月の総合インフレ率は鈍化したものの、動きはおおむね予想どおり。物価圧力の緩和が長期にわたり続き、さらに経済成長の再減速を示す兆候が表れない限り、カナダ中央銀行が再び政策を動かすことはないだろう」と述べ、2026年末まで、翌日物金利に変更はないと予測した(CIBCエコノミックフラッシュ11月17日)。
中銀の次回の政策金利発表
は12月10日に予定されている。
(井口まゆ子)
(カナダ)
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