9月のカナダ消費者物価指数、前年同月比2.4%上昇

(カナダ)

トロント発

2025年10月24日

カナダ統計局が10月21日に発表した9月の消費者物価指数(CPI)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは前年同月比2.4%の上昇率で、8月の上昇率(1.9%、2025年9月19日記事参照)を0.5ポイント上回った(添付資料表参照)。

統計局は上昇の主な要因として、エネルギーと食品価格を挙げた。ガソリンは前年同月比で4.1%減と低い水準だが、8月の12.7%減から減少幅が縮小し、基準年効果によって総合インフレを押し上げた。ガソリンを除いたCPIは8月の2.4%増に続き、9月は2.6%の上昇となった。特に生鮮野菜(9月1.9%増、8月2.0%減)や、砂糖・菓子類(9月9.2%増、8月5.8%増)の伸びが目立った。牛肉やコーヒーも供給減の影響により、価格上昇が見られた。家庭用食料品の支出は前年同月比で4.0%増大し、8月の3.5%増から加速した。住宅関連では、家賃が8月の4.5%増に続き、9月も4.8%増と、上昇が続いている。

一方、物価上昇を抑制した要因として、旅行ツアーが前年同月比1.3%下落(8月9.3%減)したことを挙げた。通常、9月は前月比で下落する傾向にあるが、欧米の一部地域で開催都市の大規模イベントがホテル料金を押し上げたため、前月比では4.6%上昇した。しかし、旅行関連サービスは依然として前年より低い水準にあり、CPI全体の上昇を一定程度抑制したと説明した。

発表を受けて、トロント・ドミニオン銀行の調査部門TDエコノミクスのディレクター兼シニアエコノミストのアンドリュー・ヘンシック氏は「経済の見通しには多くのリスクがあり、高い失業率からも、さらなる金利引き下げの余地がある」と述べ、確実ではないものの、利下げの可能性を予測した(TDエコノミクス10月21日)。

中銀の次回の政策金利と経済見通しを示す金融政策報告書の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは10月29日に予定されている。

(井口まゆ子)

(カナダ)

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