半導体サプライチェーンに関する枠組みが最終化、日本の協力に期待
(ASEAN、マレーシア、インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス)
ジャカルタ発
2025年11月27日
マレーシア・クアラルンプールで10月26日に開催された第47回ASEAN首脳会合(サミット)(2025年11月18日記事参照)では、2045年までのASEANの半導体サプライチェーンに関する取り組みを定めた「ASEAN半導体サプライチェーン統合枠組み(AFISS)」の最終化が歓迎された。
共同声明では、AFISSを「地政学的な力学の変化、進化する貿易同盟、加速する技術変革の中で、地域を世界の半導体バリューチェーンの中心に位置付けるASEANの旗艦戦略である」と表現した。本枠組みにより、「(半導体という)重要かつ戦略的な分野において、サプライチェーンの回復力を強化し、投資誘致力を高め、地域の生産能力を拡大・発展させる」と強調した。
本枠組みは、「ASEAN経済共同体(AEC)戦略計画2026-2030」の戦略目標1(行動重視の共同体)(2025年6月2日記事参照)に沿うかたちで、(1)地域統合の強化、(2)原材料調達の多様化、インフラのアップグレード、物流ネットワーク強化を通じたサプライチェーンの強靭(きょうじん)化、(3)研究開発(R&D)、知的財産(IP)開発の推進などによる、イノベーションと技術移転の促進、(4)中小企業と労働者が高付加価値セクターによる恩恵を享受できるようにするための、ツール、スキル、資金調達の提供を通じた中小零細企業(MSME)と人的資本開発の支援、(5)米国、日本、インドおよび志を同じくするパートナーとの協力深化による戦略的パートナーシップの確保などの主要な目標を定めた。
本枠組みはASEAN加盟国に対する法的拘束力は伴わず、今後は各国が枠組みを踏まえた施策を検討する。日本については、半導体材料、先端技術、拡散工程(前工程)に長年の知見を有する、と言及された。ASEAN側は、合弁事業や専門的な研修に加え、特に自動車や産業用チップ分野での材料共同開発を通じて、これらの知見を活用することが可能とされた。
(大滝泰史)
(ASEAN、マレーシア、インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス)
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