ASEAN経済共同体(AEC)の5カ年計画採択、中国とも通商合意
(ASEAN、タイ)
バンコク発
2025年06月02日
ASEAN事務局は5月26日、同日開催された第46回ASEAN首脳会議(サミット)で、ASEAN経済共同体(AEC)戦略計画(2026年~2030年)が採択されたことを発表した。
AEC戦略計画は、強靭(きょうじん)、刷新的(イノベーティブ)、動的(ダイナミック)、かつ、人材を中心に据えるASEAN共同体ビジョン2045を経済面で実行するための計画で、6つの戦略目標を軸に、44の個別目標、192の施策を挙げた(添付資料表参照)。戦略計画の実行に当たっては、AEC評議会(AECC)が説明責任を担い、監督機関としてASEAN事務局が必要に応じて事務局内外から専門家を登用する。
今回サミットを主催した議長国マレーシアの議長声明によると、ASEAN物品貿易協定(ATIGA)とASEAN中国・自由貿易協定(ACFTA)の改正交渉の妥結が首脳級で確認された。それぞれ10月の第47回ASEANサミット、2025年後半の第28回ASEAN中国サミットでの署名を目指す。同時に交渉を進めるASEANデジタル経済フレームワーク協定(DEFA)については、交渉の進展を確認した上で、年内の実質妥結への期待を示した。
また、サミットでは、グローバルな経済・貿易上の不確実性への対応に関する首脳声明が採択された。関税など貿易・投資制限措置の増加、経済の分断リスクを念頭に、貿易の迂回リスクを監視し、建設的な解決策を模索するよう関係当局に指示したほか、新設されたASEAN地経学タスクフォース(2025年5月19日記事参照)の活用、高関税による産業・労働者への影響を緩和する国内対策を講じる方針を示した。
タイのペートンタン・チナワット首相はサミット参加(2025年5月29日記事参照)後の記者会見(5月27日)で、米国の関税措置について、タイを含む多くのASEAN加盟国が米国にオファーを提出し、交渉日程の調整を進めており、近い将来に会合が開催される見通しであることを明らかにしている。
これら以外の経済関連では、インフラや物流、人材など連結性に関する戦略計画のほか、文化・芸術や科学技術などクリエーティブ経済に関する持続可能性フレームワーク
が採択されている(注)。
(注)第46回ASEANサミットに関わる成果文書については、ASEAN事務局ウェブサイトを参照。
(藪恭兵)
(ASEAN、タイ)
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