日本政府がガザ再建支援担当大使を任命、国連安保理でガザ復興枠組み審議へ
(日本、イスラエル、パレスチナ、米国)
テルアビブ発
2025年11月17日
日本の外務省は11月14日、茂木敏充外相が大久保武・元駐レバノン大使をガザ再建支援担当大使(外務省参与)に任命したと発表
した。茂木外相は同日の会見
で「大久保氏はイスラエル、パレスチナ双方で豊富な勤務経験があり、その知見と人脈を生かして、ガザの再建や統治メカニズムの構築などに取り組んでもらいたい」と述べた。
日本政府は、米国のドナルド・トランプ大統領による「ガザ紛争終結のための包括的計画」(2025年9月30日記事参照)の進展を踏まえ、人道状況の改善や早期復旧・復興を通じて「二国家解決」の実現に向け、積極的な役割を果たす方針を示している。具体的には、「ガザ再建をはじめとするパレスチナの国づくりに向けた支援や、ガザの暫定的な統治メカニズムへの人的貢献などに取り組む考え」で、今回の大久保大使の任命はその一環とされる。
ガザ地区では10月10日に発効した停戦合意に基づき、イスラエルとハマスは人質とパレスチナ人受刑者の交換を進めている(2025年10月14日記事参照)。ハマスは停戦開始後、イスラエル人質20人の生存者と25人の遺体を返還したが、3人の遺体は依然としてガザに残されている(「タイムズ・オブ・イスラエル」紙11月14日付)。一方、イスラエル側は約2,000人のパレスチナ人を釈放し、330の遺体を返還したという。
イスラエル国防軍(IDF)
によると、IDFは停戦合意に基づいて「イエローライン」と呼ばれる防衛線まで撤退した。この防衛線はガザ中央部を除き、ラファ検問所からガザ北部まで延びており、IDFは防衛準備態勢を維持し、警戒を続けているとしている。
こうした中、国連安全保障理事会は11月17日にガザ復興に関する包括的枠組みを審議する予定だ。11月5日付ロイターによると、米国主導の決議案草案には、暫定統治機関の設立と国際安定化部隊(ISF)のガザ派遣が提案されており、ISFは「必要に応じて、非国家武装集団の非軍事化や武器の恒久的な廃棄など」を通じて、ガザの治安を安定させると明記されているという。
イスラエルとハマスの衝突の詳細については、ジェトロの特集を参照。
(中溝丘)
(日本、イスラエル、パレスチナ、米国)
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