トランプ米大統領とネタニヤフ・イスラエル首相が会談、「20項目のガザ和平案」を発表

(米国、イスラエル、パレスチナ、カタール、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、ヨルダン、トルコ、インドネシア、パキスタン、エジプト)

テルアビブ発

2025年09月30日

米国のドナルド・トランプ大統領とイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は9月29日、ホワイトハウスで会談外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。両首脳は会談後に共同記者会見を行い、パレスチナ自治区ガザにおける戦闘の即時終結と中東地域の恒久的な和平を目指す包括的な提案を発表した。また、ホワイトハウスは同日、「20項目のガザ和平案」を公表した。

トランプ大統領は共同記者会見で、今回の提案について、「文明史上最も重要な一日になる可能性がある」と述べ、ガザでの戦闘終結を超えて「中東の永遠の平和」を目指すと強調した。提案には、ハマスによる人質の72時間以内の解放、ガザの非武装化、軍事・テロ・攻撃用インフラの破壊、そして新たな国際監視機関「平和評議会」の設立が含まれている。この評議会はトランプ氏自身が議長を務め、英国のトニー・ブレア元首相ら国際的な指導者が参加する予定だ。

また、ガザの統治については、ハマスやパレスチナ自治政府(PA)ではなく、国際的な専門家とパレスチナ人による新体制が担うとされる。トランプ大統領は、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、ヨルダン、トルコ、インドネシア、パキスタン、エジプトなどのアラブ・イスラム諸国が提案を支持していると述べ、「これまでにないほどの国際的な協力が実現している」と語った。

続いて、ネタニヤフ首相は「この提案はイスラエルの戦闘目的を達成する現実的な道筋であり、ガザが再び脅威となることを防ぐ」と述べ、全面的な支持を表明した。同首相は、イスラエル兵の犠牲を無駄にしないためにも、ハマスの軍事力と政治支配の完全排除が不可欠と強調。ガザにはハマスもPAも関与しない新たな文民統治体制が必要とした。

また、ネタニヤフ首相は、ハマスが提案を拒否した場合には「イスラエルは単独で任務を完遂する」と明言し、軍事的選択肢も排除しない姿勢を示した。PAに対しては、2020年のトランプ和平案に基づく抜本的改革がなければ、ガザ統治への関与は認められないとした。

両首脳は、イスラエル・カタール・米国による3国間対話の開始も発表し、地域の誤解や緊張の緩和を目指すとした。トランプ大統領は「全ての関係国が前向きに参加しており、今こそ和平の実現が可能な時だ」と述べ、ネタニヤフ首相も「この提案が実現すれば、中東全体に新たな始まりをもたらす」と語った。

なお、ホワイトハウスが公表した20項目のガザ和平案の日本語仮訳は添付資料のとおり。

イスラエルとハマスの衝突の詳細については、ジェトロの特集を参照。

(中溝丘)

(米国、イスラエル、パレスチナ、カタール、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、ヨルダン、トルコ、インドネシア、パキスタン、エジプト)

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