停戦合意第1段階が発効、人質と囚人を交換、トランプ米大統領がイスラエル国会で演説

(イスラエル、パレスチナ、米国)

テルアビブ発

2025年10月14日

イスラエル政府は1010日、イスラエルとイスラム組織ハマスが戦闘終結に向けた和平案の第1段階に合意したことを受けて(2025年10月9日記事参照)、閣議を開き、第1段階の枠組みを正式に承認したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。首相府外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、停戦の決定から24時間以内に、イスラエル国防軍(IDF)はガザ地区で展開している部隊の再配置を行い、停戦が発効する。そして、72時間以内にガザ地区からイスラエル人質20人の生存者、2人の生死不明者、26人の遺体が返還される予定だ。これに対してイスラエル側は、刑務所庁に拘束されている250人の安全保障関連囚人、追加の20人の囚人、さらに2023107日の事件に関与していないガザ出身の被拘束者1,700人と未成年者22人を釈放し、ガザ出身の戦闘員360体の遺体も返還するとしている。

写真 人質広場で合意を歓迎するイスラエル市民(ジェトロ撮影)

人質広場で合意を歓迎するイスラエル市民(ジェトロ撮影)

停戦は10日正午(日本時間同日午後6時)に発効し、IDFは合意に基づき、パレスチナ自治区ガザ地区で展開していた部隊を定められたラインまで撤退させた。

IDFの発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、ハマスは10月13日、停戦合意に基づき、ガザ地区で拘束していた48人の人質のうち、生存している20人全員を解放し、4人の遺体を返還した。各種報道によると、イスラエル監獄局は同日、250人の囚人と1,718人の非拘束者を釈放したとしている。

米国のドナルド・トランプ大統領は同日、イスラエルを訪問し、イスラエルの国会にあたるクネセトで演説外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを行った。

トランプ大統領は、今回の合意が単なる戦闘の終結ではなく、「テロと死の時代の終焉(しゅうえん)」であり、「信仰と希望と神の時代の始まり」だと強調した。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相を「並外れた勇気と愛国心を持つ人物」とたたえ、アラブ・イスラム諸国がハマスに人質解放を促したことにも言及した。「イスラエルと世界にとって、平和のパートナーとして各国が協力したことは驚くべき勝利だ」と語った。

イスラエルについては、「米国にとって常に不可欠な同盟国」と位置づけ、「世界最強の軍と革新的な経済を持つ国」と称賛した。

最後にトランプ大統領は、「テルアビブとドバイ、ハイファとベイルート、エルサレムとダマスカスを結ぶ友情と商業の新たな絆が生まれる」と語り、「イスラエル、中東、そして米国はかつてないほど安全で、強く、繁栄するだろう」と締めくくった。

イスラエルとハマスの衝突の詳細については、ジェトロの特集を参照。

(中溝丘)

(イスラエル、パレスチナ、米国)

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