日本でのUPI利用に向け、NTTデータとインド決済公社が覚書
(インド、日本)
ムンバイ発
2025年11月04日
NTTデータは10月7日、インドの統合決済インターフェース(Unified Payments Interface:UPI)を運営するインド決済公社(National Payments Corporation of India:NPCI)の国際部門NPCI International Payments(NIPL)と、日本国内でのUPI受け入れ推進に関する覚書(MoU)を締結したことを公表した。両社は、インドからの旅行者が日本国内の加盟店でUPI対応アプリを通じて支払い決済が行える仕組みの構築を目指し、技術的な連携や運用体制の検討を進めるとしている。
UPIは、インド準備銀行(RBI、中央銀行)とNPCIが共同で設計した即時決済インフラシステムで、2016年の導入以来、国内の金融包摂とキャッシュレス化を大きく前進させてきた。現在では都市部から農村部まで全国的に利用が広がり、公共料金や小規模店舗での支払いや、個人間の送金など、日常の取引手段として広く浸透している(2025年4月24日付地域・分析レポート参照)。サンジャイ・マルホトラRBI総裁による10月14日の米国首都ワシントンでの講演によると、インド国内のデジタル決済取引の約85%がUPIを通じて行われており、月間の取引件数は約200億件、取引額は2,800億ドルに達しているという。
NIPLは2021年以降、UPIの国際展開を進めており、これまでにシンガポールやフランス、アラブ首長国連邦(UAE)など複数国で導入を開始している(2025年10月8日記事参照)。今回のNTTデータとの連携は、東アジア地域で初の事例となる。両社の役割について、NTTデータは日本国内の加盟店開拓・管理、入金処理などを担当し、NIPLは決済プラットフォーム全体の提供と維持を担うとしている。
今後はUPIの国内加盟店対応に向けた具体的な検討が進められる予定で、両社は試験的なサービス提供を視野に入れ、運用上の要件整理や実証準備を進める見通しだ。詳細な開始時期や取扱範囲は現時点で公表されていない。
(篠田正大)
(インド、日本)
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