インドの即時決済システム「UPI」、カタールで全面展開

(インド、カタール)

調査部アジア大洋州課

2025年10月08日

インド国際決済機構(NPCI)の子会社NIPL(NPCI International Payments Limited)が開発した統合決済インターフェース(Unified Payments Interface:UPI)が9月に、カタールのドーハ空港の免税店で利用可能となった。UPI導入は、カタール国立銀行(QNB)、日本の決済ゲートウエー企業ネットスターズの協力の下で実現し、QNBの加盟店向けにカタール全土のPOS端末でUPIを導入した。10月には、インド出身の実業家ユスフ・アリ氏が創業者の大手小売業グループ「ルルグループ」の店舗(Lulu Hypermarket)で導入開始となった(「ミント」紙10月6日)。

UPIは、2016年にインド準備銀行(RBI、中央銀行)とNPCIが設計した即時インフラシステムだ。インド政府の「デジタルインディア」(注)政策や、スマートフォンの普及、新型コロナウイルスのパンデミック下での非接触決済需要の高まりなどを背景に、短期間で爆発的に普及した(2025年4月24日付地域・分析レポート参照)。UPIはブータン、フランス、モーリシャス、ネパール、シンガポール、スリランカ、アラブ首長国連邦(UAE)で既に導入されており、カタールは8番目のUPI導入国となった。

インドのピユシュ・ゴヤル商工相は「UPI導入は、カタールとインド間の貿易に革命をもたらす可能性を秘めている」と述べた。両国間の決済システムをシームレスに統合することで、両国の人々は低コストでより多く、スマートな決済取引が可能となる。

ネットスターズ代表取締役社長CEO(最高経営責任者)の李剛氏は「NPCI、カタール航空グループ、カタール国立銀行とともに、カタールで初めてUPIを導入できたことを光栄に思う。グローバルにシームレス、かつ安全な決済体験を拡大するという当社のミッションに合致しており、カタールの加盟店が世界中の旅行者からデジタル決済を利用してもらえるよう貢献できることを誇りに思う」と述べた。

(注)2015年に開始されたインド政府の国家ICT(情報通信技術)戦略で、行政サービスの電子化、デジタルインフラ整備、国民のITアクセス拡大を通じ、包摂的なデジタル社会の実現を目指す。

(野本直希)

(インド、カタール)

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