欧州13産業団体、EUに2040年目標の早期採択を要請、気候変動と競争力強化策は両立可能と訴え

(EU)

ブリュッセル発

2025年11月05日

欧州工作機械工業連盟(CECIMO)や欧州風力協会(ウインド・ヨーロッパ)など、機械、電気・電子およびエネルギー関連の13の産業団体は10月30日、EUの温室効果ガス(GHG)排出削減に関する2040年目標案(2025年7月8日記事参照)を支持し、早期採択を求める共同声明PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した。

13団体は、GHG排出量を2040年までに1990年比で90%削減という野心的な目標設定は、2050年の気候中立の実現に向けた予見可能な長期的な規制枠組みの土台となり、関連投資の呼び込みや産業競争力強化、化石燃料の輸入依存の低減に資するとした。さらに、EUが気候変動対策の国際的な取り組みを主導する立場を維持することが可能になると述べた。2025年11月10日から開催される国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)の前に採択することが重要と主張した(2025年10月30日記事参照)。

しかし、2040年目標は、競争力低下への懸念などから、EU加盟国間の合意は先送りされている(2025年10月27日記事参照)。13団体も2040年までの90%削減は経済的にも容易ではないと認めつつ、エネルギー価格の引き下げやEU域内生産の維持策を早急に講じ、EUの産業競争力を強化することで達成は可能であると述べた。「域内産業の強化なくして、クリーンへの移行は不可能」と訴え、EUに対し規制の簡素化に優先的に取り組むよう要請した。

声明では、気候中立目標については、「気候変動対策」か「競争力強化」の二者択一を迫る議論となることが多いと指摘。しかし、EUは両方に同時に取り組むことで、GHG排出削減と域内のクリーン産業振興の両立を実現できると述べた。

(滝澤祥子)

(EU)

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