日本の地理的表示(GI)、「沖縄黒糖」など新規で3件登録
(日本、EU、英国、世界)
農林水産食品部市場開拓課
2025年11月20日
日本の農林水産省は、2025年11月17日付で新たに3件の農水産品を地理的表示(GI:Geographical Indication)の登録産品情報
として公示した。GIとは、その地域ならではの自然的、人文的、社会的な要因の中で育まれてきた品質、社会的評価などの特性を有する産品の名称で、知的財産の一種だ(注)。青果物・畜産物・水産物・加工食品など、地域の特産物が対象になる。
今回登録されたのは次の3品目。
- しりうちにら北の華(生産地:北海道上磯郡知内町および木古内町、生産者団体:知内町ニラ生産組合)
- 宍道湖産ヤマトシジミ、宍道湖しじみ(島根県松江市および出雲市、宍道湖漁業協同組合)
- 沖縄黒糖(沖縄県、沖縄県黒砂糖協同組合)
中でも「沖縄黒糖」は、沖縄県内外への出荷のみならず、台湾、香港などへ輸出されており、販路の拡大による需要者への認知も広がってきており、GI登録により一層の輸出拡大が期待される。
2025年に登録された産品は、11月17日現在で計16品目。「特定農林水産物等の名称の保護に関する法律」(地理的表示法、2015年施行)が成立後、累計で164件となり、徐々に増加傾向にある(2023年17件、2024年16件登録)。
GIに登録されることで、「GIマーク」を使用でき、産品の強みや魅力が「見える化」される。また、国による登録であることから、信頼性も高い。したがって、GIは商品の魅力を効果的に伝え、取引時の説明や証明をスムーズにするほか、需要者からの信頼を得やすくするための有力な手段となる。農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略
(2025年5月)では、ブランド化などによる高付加価値化の推進という項目が新設され、2030年度までに212産品のGI登録を目指すとされた。
GIは、日本国内のみならず海外で登録することで、知的財産として海外での模倣品対策になるとともに、地域ブランドとしての高付加価値化が可能だ。日本とEUや英国との間では、GI登録された産品が相互保護されている。これまでに相互保護されているGIの一覧は、農林水産省
のウェブサイトで確認できる。
(注)GIは、商標(トレードマーク)である地域団体商標とは異なる。地域団体商標は、地域ブランドとして用いられることが多い地域の名称や商品(サービス)の名称などからなる文字商標(2025年7月29日記事参照)。GIに関して、特定農林水産物など(酒類などを除く、農林水産物や飲食料品、一部非食用農林水産物)が農林水産省、酒類が国税庁の管轄。酒類のGIの詳細は、2025年10月14日記事参照。
(古城達也)
(日本、EU、英国、世界)
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