成都市、日系企業視察ツアーと交流会を開催

(中国)

成都発

2025年11月06日

ジェトロは中国の四川省成都市政府や関係団体とともに、10月22日から24日にかけて、「日系企業成都視察ツアーおよび2025成都対日開放協力交流会」(以下、視察ツアー・交流会)を実施した。初日の開始式典には、日本から商社、製造業、銀行などの日系企業をはじめ、経済産業省、在重慶日本総領事館、日中経済協会など計56社・団体が参加した。今回の視察ツアー・交流会では、商業・貿易、電子情報、製造設備の3分野に分かれ、成都市関連企業の視察訪問と産業別の交流会が実施された。

開始式典では、日本側代表として経済産業省の小見山康二大臣官房審議官があいさつを行い、文化クリエーティブイベント、日中協力5周年を記念して企画された「日系企業成都視察ツアーおよび成都対日開放協力プロモーション投資説明会(2024年11月11日記事参照)」、2025年7月に実施した「成都コンテンツ市場視察ツアー(2025年7月29日記事参照)」など、成都市政府による多様な交流の取り組みに触れた。そのうえで、「引き続き成都市と日本が幅広い産業においてともに発展する機会を生かし、対話と交流を進めていくことを望む」と強調した。

また、成都市に進出している日系企業代表として、イトーヨーカ堂中国事業発展委員会の三枝富博主席が登壇し、「イトーヨーカ堂は新たな生活モデルと暮らし方を提供することで、成都市民の生活レベル向上に全力で尽くしていく」と表明した。さらに、新時代における日中経済連携について、「政府と民間企業が同じ方向性を持って、ウィンウィンの関係を築いていく。政府と企業との率直な情報交換を通じて、地域政府、生産者、メーカーなどとの力強い協力関係を構築する」と述べた。

視察ツアーの電子情報産業コースでは、成都市の重点企業を訪問した。そのうち、成都京東方車載顕示技術(BOE車載ディスプレー)は2023年に成都市で設立され、トヨタ、フォルクスワーゲン(VW)、BYDなどの国内外自動車メーカー向けに車載用ディスプレーの量産を行っている。同社の親会社である京東方科技集団(BOE)は、2024年9月に成都市に中国初の第8.6世代(注)アクティブマトリックス式有機EL(AMOLED)工場を設立した。さらに2025年5月には予定より約4カ月早く、同工場への製造装置の搬入を開始した(2025年5月28日記事参照)。BOEのほか、日系企業の日東材料科技(成都)、出光電子材料(中国)にも視察を行った。なお、2024年の四川省新型ディスプレー産業の産業規模は1,900億元(約3兆9,900億円、1元=約21円)に達し、世界全体の約10%を占めている。こうした視察ツアーのほかに、成都ロボットイノベーションセンターへの訪問も行われた。

写真 開始式典の様子(成都市政府提供)

開始式典の様子(成都市政府提供)

写真 成都ロボットイノベーションセンターへの訪問(成都市政府提供)

成都ロボットイノベーションセンターへの訪問(成都市政府提供)

(注)「第〇世代」はディスプレーの基になるガラス基板のサイズを表すもので、世代が新しくなるほどサイズが大きくなり、第8.6世代は2,290×2,620ミリメートル(㎜)。ディスプレーは液晶、有機EL、マイクロLEDなどに分類される。

(王植一)

(中国)

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