中銀が政策金利21.5%に利下げ、経済成長下のインフレ抑制をIMFも評価
(エジプト)
カイロ発
2025年10月15日
エジプト中央銀行(CBE)は10月2日、政策金利を1.0ポイント引き下げて21.5%とすると発表した。2025年4月に4年5カ月ぶりの利下げを行って以来(2025年4月30日記事参照)、5月、8月と利下げが続き、今回までで計6.25ポイントの引き下げとなった。
CBEは利下げの理由について、インフレが抑制され物価が安定しつつあることを挙げた。前年同月比のインフレ率は、7月13.9%、8月が12.0%と低下しており(添付資料表参照)、食品価格の下落と非食品価格の相対的な安定によるものと分析している。2025年第2四半期の実質GDP成長率は5.0%で、第1四半期の4.8%から加速しているが、現行の金融政策の下では需要側のインフレ圧力は限定的であると予測した。CBEは、中期的にインフレは引き続き緩やかに抑制されると予測しており、2025年のインフレ率見通しは平均14%、2026年第4四半期には目標値(平均7%)に収束するとしている。
なお、10月8日のCBE発表によれば、9月のインフレ率は11.7%とさらに低下したが、消費者物価指数は2025年6月、7月の下落(2025年8月14日記事参照)の後、2カ月連続で再び上昇に転じている(添付資料図参照)。
IMFは10月2日の記者会見で、経済成長率の回復とインフレ抑制はエジプトにとって非常に重要な成果だとし、財政面でもIMFの経済改革プログラムの目標を上回る成果を達成したと評価した。また、マクロ経済の安定化が進む中でエジプトが潜在成長力を引き出し、残る脆弱(ぜいじゃく)性を軽減するためにはより深い改革が不可欠とし、今秋に予定されている拡大信用供与措置(Extended Fund Facility、EFF)の第5回・第6回レビューでは、ビジネス環境の改善、国営企業の民営化と民間部門への支援強化の進捗も評価対象に含まれると述べた。
(塩川裕子)
(エジプト)
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