4年半ぶりに2カ月連続で消費者物価指数が下落
(エジプト)
カイロ発
2025年08月14日
エジプトの中央動員統計局(CAPMAS)によると、エジプトの消費者物価指数(CPI)が2025年5月の254.5から、6月に254.1、7月に252.9と2カ月連続で前月比下落した(注)。例年5月から6月にかけては農産物が豊富に市場に出回ることから物価上昇が止まる傾向にあるが、2カ月連続で物価指数が下落するのは2020年12月、2021年1月以来の4年半ぶりとなった(添付資料図参照)。エジプト中央銀行(CBE)は、2025年に入って需要側のインフレ圧力が抑制されていると判断し、2025年4月と5月に2カ月連続で利下げに踏み切った(2025年5月27日記事参照)。CBEの8月10日付プレスリリースによると、2025年7月の前年同月比の物価上昇率は13.9%で、2025年2月以降10%台を推移している(添付資料表参照)。
エジプトはIMFの指導の下、インフレ抑制を含む経済改革に取り組んでおり、IMFも一定の成果を認めている。7月10日に開催されたCBEの金融政策委員会(MPC)会合では、国際的な原油価格の下落や季節要因による農産物の価格低下、また、適度な金融引き締めによってインフレが抑制されていると分析し、インフレ率は2025年末にかけては現在の水準を維持、2026年には徐々に低下するとの見通しを示した。他方、地政学的緊張の高まりや各国の政策による世界貿易の混乱の可能性、気候変動などによってインフレ上昇リスクはいまだ高い水準にあると分析し、補助金削減など財政緊縮措置が物価に及ぼす影響について引き続き注視が必要としている。
(注)エジプトのCPIは2018/2019会計年度(2018年7月~2019年6月)の平均を100としている。
(塩川裕子)
(エジプト)
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