エジプト中銀が4年5カ月ぶりに利下げ、政策金利25.5%に
(エジプト)
カイロ発
2025年04月30日
エジプト中央銀行(CBE)は4月17日、政策金利を2.25ポイント引き下げて、25.5%とすると発表した。ロシアによるウクライナ侵攻開始以降、CBEはインフレ抑制のため利上げを続けてきたが、利下げは2020年11月以来となる(2024年3月12日記事、2022年3月25日記事参照)。
2024年3月に通貨エジプト・ポンドを大幅に切り下げて以降、管理を強めずに外為市場に委ねているが、為替レートは小幅な下落にとどまっている。2025年第1四半期(1~3月)の前年同期比の物価上昇率が大幅に低下し、前月比でも伸びが緩やかになっており、急激なインフレが落ち着くなど、CBEはこれまでの金融引き締め策が奏功したとしている。2025年2月の前年同月比物価上昇率は12.8%と、ウクライナ侵攻開始直後の水準に落ち着いた(添付資料表参照)。
インフレ抑制のための金融引き締めは、IMFによる経済支援プログラムの条件である経済改革の柱の1つだった(2024年3月13日記事参照)。2025年3月に実施された経済支援プログラムの第4回レビューで、IMFはエジプトのインフレ率が徐々に緩やかになっていることを評価するとともに、柔軟な為替体制の下での金融政策転換が不可欠だとしている。
一方で、前年同月比の物価上昇率の低下がベース効果(注)によるものであることはCBEやIMFも指摘している。実際に物価指数は上昇の一途をたどっており(添付資料図参照)、前年同月比の物価上昇率も2025年3月には13.6%に再び上昇している。IMFは6月のインフレ率を16.6%と予測し、評価するとしながらも、この水準が2025年末まで維持されるかどうかは注視が必要だとしている。
(注)基準となる前期の数字の大幅な変化が前期比上昇率の数字に影響すること。ここでは、2024年2月に物価が大幅に上昇しているため、相対的に2025年2月の前年同月比インフレ率が小さくなることを指す。
(塩川裕子)
(エジプト)
ビジネス短信 ef1e250ad311b9b1