ジェトロ、ラオスで日本産食材を知るワークショップ開催
(ラオス、日本)
ビエンチャン発
2025年10月16日
ジェトロは10月3日、ラオスの首都ビエンチャンの日本食レストラン「Cafepa’Anu」で、現地の飲食店やホテル関係者向けに、日本産食材の理解促進ワークショップを開催した。オーナーやシェフ、ホテル担当者など28人が参加し、日本産食材の基礎知識や調理法、レシピ活用例の紹介で、取扱量拡大と「日本産食材サポーター店」(注1)の増加を目指した。
ワークショップでは、しょうゆや冷凍魚介、抹茶を専門に扱う日本企業3社を講師として招き、各社が食材や調味料の基礎知識を紹介した。参加者は試食や意見交換を通じて日本産食材への理解を深めた。各社の講演内容と参加者の反応は次のとおり。
〇ヤマサ醤油(タイ法人):しょうゆの原料(大豆、小麦、塩)やこうじによる醗酵製造工程、風味の特徴を説明し、現地で好まれる魚醤(ぎょしょう、ナンプラー)との違いを紹介した。また、うどんつゆを手軽に作れる濃縮昆布つゆを取り上げ、レストランでの作り置き時の風味を引き立てる投入のタイミングや、濃度調整などの実践的な活用方法も共有した。さらに、しょうゆとナンプラーでサーモンの刺し身を食べ比べたところ、多くの参加者がナンプラーを好み、ラオスの味覚に合う塩味や香りによるものと考えられる。
〇マルハニチロ(タイ法人):冷凍のねぎトロ、アジのたたき、サンマのかば焼きについて、食材の特徴とおいしさを保つ正しい解凍方法を紹介した。カツオのたたきはラオスでなじみは薄いが、試食はおおむね好評で、ショウガなどの薬味を添えると、受け入れられやすいとの意見が寄せられた。3品ではサンマのかば焼きが最も食べやすいとされ、魚介類を加熱して塩辛い味付けで食べるラオス人の食習慣が影響しているとみられた。
カツオのたたきの紹介(ジェトロ撮影)
〇YUTAS:抹茶と緑茶の違いについて、紅茶やウーロン茶との比較を交えて説明し、同じ茶葉でも、製法や用途、栄養分が異なることを紹介した。試食では、日本産抹茶を使った抹茶バスクチーズケーキを提供し、本格的な香りが非常に高い評価を受けた。試作時には、抹茶粉をふりかけるアイデアもあったが、ラオスでは苦みよりも甘みを好まれるとの意見が上がり、今後のレシピ開発の参考となった。
現地の味覚や文化に合わせた提案を今後も続けることで、日本食材のさらなる普及と販路拡大が期待される。開催後のアンケートでは、日本の飲料、酒類、ユズなどをテーマにした同様のイベントを望む声が寄せられた。
会場のレストランCafepa’Anuのオーナーは、ジェトロ「日本産食材・商品取扱店および日本食レストランガイド(注2)」への同社情報の掲載について、日本産食材を扱うレストランとして、日本食に関心のある来店者や外国人駐在員、日系サプライヤーへの知名度向上だけでなく、高品質な日本産食材を提供する新たなサプライヤーネットワークの獲得にもつながると語った。
(注1)「日本産食材サポーター店」は、日本の農林水産省のガイドラインに基づき、日本国外で日本産食材や酒類を使用、または販売しているレストランや小売店として認定される。Cafepa’Anuもビエンチャン市内3店舗目のレストランで、同サポーター店にこの度認定された。同店はジェトロから送付される認定証・ステッカーなどの広報材料をメニュー表やレジなどに掲載している。詳細は、ジェトロ「海外における日本産食材サポーター店認定制度」を参照。
(注2)ジェトロがラオスでの日本産品や食材の取扱店、レストラン(約60店)をとりまとめたガイドブック「日本産食材・商品取扱店および日本食レストランガイド(Japanese Restaurants & Stores in Laos vol.2)」のこと(2025年2月発行)。
(プービエン・コンシハラート、武井浩人)
(ラオス、日本)
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